藻類の色素シフォネインが日光損傷から保護

海洋緑藻は、光合成機構を強烈な日光から守る色素シフォネインを発達させた。大阪公立大学の研究者らが、このカロテノイドが有害なエネルギー状態を効率的に消光する方法を発見した。この発見は、より耐久性の高い太陽光技術を着想させる可能性がある。

強烈な日光下で、光合成生物は余剰の光エネルギーが細胞を害する活性酸素分子を生成し、損傷のリスクを負う。しかし、特定の海洋緑藻は独自の保護機構を適応させた。大阪公立大学と共同研究者の研究により、この藻類でシフォネイン色素が効率的な光保護を可能にすることが明らかになった。

チームは、陸上植物と類似した光収穫複合体LHCIIを有する海洋緑藻Codium fragileに焦点を当てたが、シフォネインやシフォナキサンチンなどの希少カロテノイドが豊富である。これらの色素により、藻類は水中での優勢な緑色光を光合成に利用できる。

「生物はカロテノイドを利用して余剰エネルギーを迅速に散逸させ、またはこれらのトリプレット状態を消光する。これはトリプレット-トリプレットエネルギー移動(TTET)と呼ばれるプロセスである」と、大阪公立大学大学院理学研究科および人工光合成研究センターの准教授で主任著者の藤井律子氏が説明した。

電子常磁性共鳴(EPR)分光法を用いて、研究者らはCodium fragileほうれん草と比較した。ほうれん草では有害なクロロフィルトリプレット状態の痕跡が残ったが、藻類ではこれらのシグナルが完全に消失し、カロテノイドによる成功した中和を示した。

「消光機構の鍵は、トリプレット状態をどれだけ迅速かつ効率的に不活性化できるかにある」と、イタリア・パドヴァ大学の共同主任著者で研究者のアレッサンドロ・アゴスティーニ氏が述べた。

EPRデータを量子化学シミュレーションと組み合わせた研究により、LHCIIの重要な結合部位でシフォネインが主な防御者として特定され、その分子構造と位置が余剰エネルギーを効果的に分散させるためであることがわかった。

「私たちの研究は、光合成緑藻のアンテナ構造が優れた光保護機能を有することを明らかにした」とアゴスティーニ氏が付け加えた。

2025年10月22日にCell Reports Physical Scienceに掲載されたこの研究は、海洋藻類が水中光を吸収しつつ日光の強度に耐える色素を進化させたことを強調している。藤井氏は、「消光効率を高めるカロテノイドの構造的特徴をさらに明確にし、最終的に光合成アンテナを最適化する色素の分子設計を可能にしたい」と述べた。これにより、光損傷に耐性のあるバイオインスパイアード太陽光システムの進歩が期待される。

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