日本全国でクマの出没と被害が増加する中、生成AIで作られた偽のクマ動画がソーシャルメディア上で急増している。これらの動画は人々の不安を煽り、誤った対処法を広める恐れがある。専門家は情報源の確認を呼びかけている。
日本では今年4月以降、クマによる死者が過去最多の13人に達し、9月までに100人以上が攻撃を受けたという政府データがある。この異常な増加に伴い、TikTokやYouTubeなどのプラットフォームで、クマの攻撃シーンを偽装した動画が急速に広がっている。
これらの動画には、ニュース番組で都市部でのクマ目撃を報じるもの、老女が果物をクマに与える様子、高校生がクマを追い払う場面、クマがペットの犬をくわえて逃げる様子などが含まれる。読売新聞の調査では、TikTokで「クマ」と「動画」を検索した100件のうち約60%がOpenAIの生成動画モデル「Sora」の透かし付きだった。一部の投稿者はプロフィールでAI使用を明記しており、数百万回の視聴を記録したものもある。
日本ファクトチェックセンターの古田大介編集長は、「クマ被害の報道増加とともに、偽動画の数も増えている」と指摘し、欺瞞のリスクに注意を促す。秋田県能代市では、コンビニにクマが入ったという偽ニュース動画が流れ、市当局は「住民の不安を煽り、業務を妨げる」と否定した。石川県七尾市でも住宅街でクマから逃げる動画が偽物と判明し、当局は公式情報に基づく注意を呼びかけた。
専門家はこれらの動画が娯楽目的で作られ、バイラル狙いだと分析する。東京農業工科大学の小池慎之介教授は、「クマに餌を与えるのは極めて危険で、人間を恐れなくなる」と警告。遭遇時は近づかず、離れ、攻撃されたらクマスプレーを使い頭と首を守る姿勢を取るよう助言する。
一方、社会問題として日本郵便は先週水曜日から、クマ出没の多い秋田県の一部で集配を停止。NTT東日本は山間部の保守作業時の安全プロトコルを検討し、ヤマト運輸もリスク高時の中止を検討中だ。