愛知県の藤田医科大学は、11月にもパートナーと新たな団体を設立し、厚生労働省に臓器移植仲介業務の許可を申請する予定です。これが承認されれば、日本臓器移植ネットワーク(JOT)の業務の一部を移管する初の事例となり、医療移植制度改革の一環となります。新団体は今会計年度内に運用を開始する可能性があります。
日本臓器移植ネットワーク(JOT)は、臓器提供希望者の家族への臓器提供説明や受移植者の選定などの業務を担っています。しかし、JOTの業務負担が重く、厚生労働省は地域ごとの団体への業務移管を進めており、9月下旬にこうした団体の募集を開始しました。
藤田医科大学は、中部地域の移植推進団体などと一般社団法人を設立し、臓器移植法に基づく臓器移植仲介業務の許可を申請します。許可の決定は、第三者機関の意見を聞いた上で省が行います。
想定される新団体は、JOTでの経験を持つ看護師やスタッフを数名雇用します。愛知、 三重、静岡、岐阜、福井、石川、富山の各県の病院から臓器提供希望者の連絡を受け、スタッフを派遣して家族支援を行います。また、他病院の医師を招いて臓器採取を担い、輸送手段の確保も担当します。省は新団体の労務費や設備購入を補助する計画です。
9月には、全国の医療関係者が省主催の説明会に出席しました。藤田医科大学病院は、日本で脳死下臓器移植件数が最多級を誇ります。脳死兆候の患者に対し、正式説明前の予備的な臓器提供オプションを家族に提供しており、蓄積したノウハウを新団体の運用に活用できると判断しました。