計算的手法でアルキルケトンの反応用触媒を発見

北海道大学の研究者らが、アルキルケトンからケチルラジカルを生成する新しい触媒法を開発し、有機化学における長年の課題を解決した。計算スクリーニングツールを用いて、望ましくない電子移動を防ぐ有効なリガンドを見出し、よりクリーンで信頼性の高い反応を実現。この画期的な成果は天然物合成と医薬品開発を支援する。

化学者たちは、有機分子に遍在するケトンを化学結合形成に活用する方法を長年探求してきた。特に頑強な障害は、ケトンの1電子還元によるケチルラジカルの生成であり、これは天然物合成や医薬品研究の重要な中間体となる。アリールケトンには方法が存在するが、より一般的で還元しにくいアルキルケトンは同様の成功を収めていなかった。

北海道大学WPI-ICReDD研究所の有機・計算化学者チームは、光励起パラジウム触媒戦略でこの問題に取り組みました。米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に掲載された彼らの研究は、光活性化パラジウム触媒と特定のホスフィンリガンドを組み合わせることで、アルキルケトンの変換が可能になったことを示しています。

先行研究では、同じパラジウム系がアリールケトンでは成功したもののアルキルケトンでは失敗。データから、アルキルケチルラジカルが一時的に生成されるも、パラジウムへの逆電子移動(BET)で原料に戻ることが判明。解決策として、松岡渡朗准教授と前田聡教授が開発したVirtual Ligand-Assisted Screening(VLAS)手法を活用。

VLASは38種のホスフィンリガンドを解析し、電子的・立体的特性のヒートマップを作成して反応性を予測。これにより3候補の実験を導き、tris(4-methoxyphenyl)phosphine(P(p-OMe-C6H4)3、L4と標記)が最も有効と判明。BETを抑制し、安定したケチルラジカル生成と高収率反応を実現。

田中康作、山田蓮、三田剛志ら著者は、この手法が化学者にアクセスしやすいツールを提供し、VLASが反応最適化を加速することを強調。第147巻43号(DOI: 10.1021/jacs.5c13115)に掲載。

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