2025年10月29日朝、日本の日経平均株価は過去最高の日内高値を記録した。米株式の上昇と米中貿易摩擦の緩和が投資家の安心感を高めた。指数は午前9時37分時点で50,909.17と、前日比689.99ポイント(1.37%)上昇した。
日本株式市場は活況を呈し、日経平均株価は10月27日の取引で50,000の重要な節目を突破し、3カ月で10,000ポイント上昇した。この急騰の主な要因は、高市早苗新首相の政権に対する期待、米株式市場の上昇、そして人工知能(AI)のブームだ。
高市首相の経済政策への期待が株高を支えている。石破茂前首相の辞任発表から高市政権の成立までの約1カ半で、日経平均は6,000ポイント以上上昇した。金曜日に行われた政策演説で、高市首相は経済を優先し、強い経済を築くための積極的な財政支出を実施すると明確に表明した。特に、首相が重視する防衛関連企業が大幅に上昇し、川崎重工業は36年ぶりの過去最高値を更新した。株高は自動車、インフラ、介護分野など幅広いセクターに広がった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の関係者は、「50,000は通過点に過ぎず、企業収益の改善が続けば来年53,000まで上昇する可能性がある」との見方を示した。
一方、政権の成長戦略がまだ実現していない中、外部要因も株高の大きな原動力だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は今週の連邦公開市場委員会で雇用状況の悪化を受け、2回連続の利下げを決定する見込みだ。これによりダウ平均は金曜日に過去最高を更新し、東京市場も追随した。加えて、マレーシアで日曜まで行われた米中閣僚級貿易協議では、中国が希土類の輸出規制強化を先送りする可能性が浮上し、追加関税の回避期待が市場に安心感を与えた。
AIと半導体の市場拡大もグローバル株高を後押ししている。米半導体大手NVIDIAの時価総額は7月に4兆ドル(約580兆円)に達し、世界初の記録を樹立した。米半導体関連株指数は年初来約40%上昇し、ダウを上回る成長を示した。日本では、Advantest、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどの株価上昇が日経平均を押し上げた。しかし、AI関連株の急騰がバブルを生む懸念もある。国際通貨基金(IMF)は今月の世界経済見通しで、AIへの過度な楽観を下方リスクの一つと指摘した。SMBC日興証券の保田光氏は「AI関連株の過熱懸念が一部で浮上し始めている」と語った。
10月29日の日内高値更新は、こうしたポジティブな勢いの継続を示すが、経済の実態から乖離した過熱の兆候も指摘されている。