警察、単独犯テロ防止で官民連携を強化

日本の当局は、組織に属さない単独犯によるテロ攻撃を防ぐため、警察と民間企業のパートナーシップを拡大している。2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を教訓に、早期警告の検知を目指す取り組みが進められている。地元コミュニティやオンラインでの兆候を捉えるための協力が鍵だ。

2022年7月、安倍晋三元首相を射殺した容疑者の山上徹也被告(45)は、自宅で自家製銃を作成し、誰にも気づかれずに実行した。この事件を契機に、当局は単独犯の行動を早期に察知するための対策を強化している。

不動産業界からの支援がその一例だ。9月25日、東京都足立区の警視庁竹の塚署のセキュリティ責任者、佐久間薫氏が、地元不動産会社を訪れ、「火薬の匂いや金属音などの怪しい兆候があれば、すぐに連絡を」と協力を求めた。警視庁は5月に3つの不動産協会と情報共有協定を結び、同署は区内の約20社を訪問した。山上被告は自宅と賃貸ガレージで銃器と爆発物を作り、近隣住民が「のこぎり音」を聞いたものの通報はなかった。これを受け、当局は硫黄を含む5つの化学物質を監視リストに追加し、異常な購入を報告するよう企業に要請している。

ソーシャルメディア監視も進む。上院選挙前の7月、国家公安委員会はX社(旧Twitter)の日本支社に協力要請し、「56-su」(殺すの意)などの暗号用語リストを提供した。Xは数時間以内にユーザー情報を開示し、例えば岸田文雄元首相への脅迫投稿「来たら生きて帰れぬ」の男性を特定し警告した。選挙前1カ月で889件の危険投稿を検知した。Xの広報担当者は「言論の自由を尊重しつつ適切に対応する」と述べた。

また、Mercari Inc.とLY Corp.(Yahoo! JapanとLine運営)は7月から、空薬莢や実弾発射可能な中国製おもちゃ銃の販売を禁止した。

昨年4月、全国の警察は捜査や巡回で得た事前情報をセキュリティ部門に集約するシステムを構築。今年4月、警視庁は公安部に単独犯対策の指揮センターを新設した。国家公安委員会はAIを活用した危険投稿検知を検討中だ。

日本大学の福田充教授は「公衆の安全と自由・人権のバランスが不可欠。市民が危険を感じたら気軽に相談できる環境づくりが課題」と指摘する。

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