クイーン・メアリー・ユニバーシティ・オブ・ロンドンの数学者が、「エントロピーからの重力」と名付けた理論的枠組みを構築した。これは、宇宙全体の増大するエントロピーと、銀河や星、そして生命といった複雑な構造の出現とを両立させ得るものとなる可能性がある。
この研究は、2026年に「Physical Review D」誌で発表され、ジネストラ・ビアンコーニ教授が主導した。教授の分析によれば、宇宙全体の総エントロピーは宇宙の膨張とともに増大する一方で、単位体積あたりのエントロピーは減少していることが示されている。このパターンは、熱力学第二法則に抵触することなく、局所的な秩序が形成されることを可能にするかもしれない。
本研究は、1970年代にジェイコブ・ベッケンシュタインとスティーヴン・ホーキングによって初めて探求された、重力と熱力学の関連性を発展させたものである。ビアンコーニ氏の手法は、統計力学を用いて、二つの計量間の「量子幾何学的相対エントロピー」を通じて表現される時空の情報的特性から重力が生じる様子を記述している。
低エネルギー状態ではこの方程式から一般相対性理論が導かれるが、より強い曲率の下では動的なダークエネルギー項が生成される。この研究では、フリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空におけるこれらの効果を検証し、局所的な幾何学的成分が熱力学第一法則の形式に従うことを突き止めた。
ビアンコーニ氏は「この研究は、宇宙における複雑性の出現と熱力学第二法則を両立させるという難題に対し、『エントロピーからの重力』理論がいかに切り込めるかを明らかにしています」と述べている。