木製バッグを制作する70歳の職人、佐藤熊野

70歳の木工職人、佐藤熊野氏が、美しく耐久性のある木製バッグを制作している。これらのバッグは、シンプルなデザインながら木目の美しさを活かし、日常使いに適した実用性を備えている。熊野氏は2000年頃からバッグの制作を開始し、伝統的な仙台箪笥の技法を応用している。

佐藤熊野氏は1955年に仙台箪笥職人の家系に生まれ、幼少期から工房で助手として技能を身につけた。大学では工業デザインを学び、卒業プロジェクトで木製遊具を作成した。2000年頃まで主に音楽箱を制作していたが、バッグ制作に転向した。「これらのバッグを作るにはより高いレベルの技能が必要なので、挑戦したかった」と熊野氏は語る。

バッグの制作では、木材の乾燥を徹底し、含水率10%以上の状態から完全に乾燥させた後、放置して変形やひび割れを防ぐ。軽量性を保ちつつ強度を確保するため、接合部を厚くし、ハンドルを十分に丸く削るなどの工夫を施す。2000年に宮城ものづくり大賞で木製バッグがグランプリを受賞し、東北地域の新土産デザインコンテスト第10回ではケーキ型音楽箱で優秀賞を得た。

東京で個展を開催したり、最近は外国人観光客に人気を博している。「人々ができるだけ長く使ってほしい」との哲学は、伝統工芸を通じた彼の信念だ。また、2011年の東日本大震災後、心を明るくするため、ショートケーキ型の音楽箱を本格的に制作開始。樹から色素を抽出し、木粉と接着剤を混ぜて生クリーム風に仕上げ、卵殻や木屑でデコレーションする。「木の魅力と共に美しい音を楽しんでほしい」と熊野氏は述べる。70歳となった今も、「職人としての技能は年々向上し、アイデアは尽きない」と意欲を語る。

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