日本人デザイナーの坂部三樹郎が、東京にある築90年の幽霊屋敷で2026年秋コレクションを発表した。各部屋を不気味な空間へと変貌させ、キュートな衣装をまとったモデルたちが登場。観客から悲鳴が上がるほどの没入感のある演出で、服そのものを見せることよりも世界観の醸成が強調された。坂部は日本のホラーからインスピレーションを受け、自身のデザインを軸にファンタジーの世界を創り上げた。
坂部三樹郎は3月23日、東京にある築90年の日本家屋で2026年秋コレクションを発表した。この建物は心霊スポットとして知られ、普段はホラー系脱出ゲームの会場として使われている場所だ。ショーは薄暗い窓のない10部屋で行われ、各部屋には髪で顔を隠した1〜2名のモデルが配置された。モデルたちは坂部らしい非常にキュートな服を身にまといつつ、床で震えたり、壁に向かって時折叩きつけたり、クローゼットから突如現れたりと、観客を驚かせるような不可解な動きを繰り返した。ある部屋では、赤い光に照らされたアルコーブで男性がバールを振りかざし、その険しい表情が不鮮明なテレビ画面に映し出されていた。自身もホラー愛好家である坂部は、日本のホラーとファッションを融合させようと試みた。「大人になっても、少し不気味な部屋のような場所に入ると、簡単にその独特の世界観に引き込まれる感覚があり、そこに魅力を感じます」と彼は語る。「ホラーというのは、ファンタジーの世界に入る最も手っ取り早い手段だと感じています」と続けた。照明を抑えることで服のディテールはあえて見えにくくし、服単体ではなく「世界観」に焦点を当てる演出とした。「最近は服を見せること以上に、自分が作り出す世界観を伝えることに重きを置いています。服を見たい人はショールームに来ればいい。まずはこのユニークな世界を体験してもらう方が、より深い印象を残せるはずです」と坂部は説明した。「もし照明が明るすぎたら、服ははっきり見えても、雰囲気は台無しになっていたでしょう」。坂部のビジネスは、東京から上海まで人気を博すバブルソールスニーカーのブランド「Grounds」に支えられており、こうした実験的な試みを可能にしている。ひねりを加えたブラウスや穴あきニット、オーバーサイズのショルダーブレザー、解体されたセーラーカラーのユニフォームといった彼のデザインは、その独特な「着られる奇妙さ」によってカルト的な人気を博している。