日本政府は、今年4月以降のクマによる12人の死亡者を記録的高水準とする中、警察によるライフル使用を検討するなど対策を強化した。複数の省庁が参加した閣僚会議で緊急措置が指示され、猟師への報酬引き上げも進んでいる。この状況は国民の安全を脅かす深刻なものと位置づけられている。
10月30日、日本政府はクマ被害の増加に対処するため、対策を強化する閣僚会議を開催した。首席閣僚秘書官の木原稔氏は、「今年、多くの地域でクマが住宅地に入り込み、被害の多様性と範囲が広がり、死傷者が増加している。これは国民の安全と安心を脅かす深刻な状況だ」と述べた。この会議には環境、教育、農業、内務、運輸、防衛省および国家公安委員会の大臣が出席し、従来の5省庁から8省庁に拡大された。
環境省によると、2025会計年度(4月開始)のクマによる死者は12人で、前年度の記録6人の倍に上る。また、4月以降100人以上が負傷しており、新記録だ。政府は11月中旬までに対策を更新し、住宅地へのクマの迅速な駆除を目指す。警察によるライフル使用の検討も進められている。
教育省は、学校通学時や校内での安全対策のまとめを作成し、全国の教育委員会に配布。教育大臣の松本剛明氏は、「子供の安全を損なう事例が起きているのは憂慮すべきだ。私たちは彼らの安全を確保するため努力する」と語った。一方、陸上自衛隊の約130人が、秋田県の駐屯地で地元猟師と訓練を実施した。
9月に改正された法律により、自治体は住宅地での緊急狩猟を猟師に許可可能となった。以来、仙台、富山、札幌などで8回の緊急狩猟が行われた。猟師の負担増を考慮し、多くの自治体が報酬を向上させている。例えば、北海道美瑛町は時間給を4,000円(前年1,500円)に、捕獲1頭あたり6万円(2万円)に引き上げ。長野県飯山市は日当を1万円(5,700円)に、富山県射水市は5万円/頭の制度を導入した。全国猟友会会長の佐々木洋平氏は、「クマ対応は命がけだ。少なくとも県レベルで報酬を標準化してほしい」と訴えた。秋田県湯沢町では、大曲狩猟協会の事務局長加野龍英氏(75)が、男性を襲ったクマを捕獲。「捕獲できて安堵したが、冬眠前の大型クマが人里に出没する負担が増す」と語った。全国猟友会は2024会計年度で10万561人を擁する。
