グランド・エジプト博物館、11月に全面オープン 日本との強い結びつき

エジプトのギザのピラミッド近くに位置するグランド・エジプト博物館(GEM)が11月に全面オープンする。日本国際協力機構(JICA)の約20年にわたる支援により、日本との特別なつながりを持つこの博物館は、世界最大級の規模で古代エジプトの遺物を展示する。

グランド・エジプト博物館は、古代エジプト王朝(紀元前3000年から30年)にわたる約10万点の遺物を収蔵し、特にツタンカーメン王の黄金のマスク関連のコレクションがハイライトとなる。博物館はエジプトの観光産業の新たな旗艦施設として期待されている。

建設はアラブの春後の政治的混乱と新型コロナウイルス禍により遅延したが、JICAは困難な時期も支援を継続した。博物館CEOのアフマド・ゴネイム氏は10月17日の東京のエジプト大使館でのビデオ講演で、「日本人がこの世界的なプロジェクトで果たした役割の歴史を振り返ると、彼らは本当のパートナーであり、どの段階でも止まらなかった」と語った。

博物館の敷地面積は47万平方メートルで、ピラミッドの眺めが楽しめ、常設展示室、子供博物館、会議・教育施設を備える。昨年10月に部分オープンし、土曜日に公式グランドオープニング、火曜日から全面公開される。

1902年に開館したカイロのエジプト博物館の老朽化を背景に、2006年から日本が支援を開始。総建設費約1400億円のうち、日本は842億円(約60%)の円借款を提供した。2008年から遺物の保存・修復に関する技術協力も行い、2016年にはツタンカーメン遺物の修復支援を開始。以前は政府公認のエジプト人しか修復できなかったが、日本人専門家約40人が参加した。

JICAの中東・欧州部長の富山圭氏は、「未修復の遺物に触れ作業するのは、日本人研究者にとって大変な学習経験だった」と述べた。佐賀大学の石井美恵准教授は、「アラブの春や2011年の東日本大震災の最中もJICAは専門家派遣を止めず、信頼を強め使命感を育んだ」と語った。

もう一つのハイライトは、4500年前のクフ王の船2艘。1艘目は1971年に修復展示され、2艘目は1987年に発見され、2011年から日米研究者チームが発掘・修復を開始、1700点以上の部品を掘り起こした。GEM内のクフ船博物館で、エジプト人専門家が日本人支援のもと来場者の前で修復作業を行い、「どの博物館でも経験したことのない」ユニークな展示となる。

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