日本の大学や大学院で英語による授業プログラムが増加している。国際学生や教員の受け入れを促進し、卒業生のグローバルキャリアを支援する狙いだ。しかし、一部の専門家は日本人生徒の理解不足による教育の質低下を懸念している。
東京都在住大学では、2015年度から科学部で英語による主要科目を提供し、卒業に必要な全単位を英語授業で取得可能だ。昨年11月、同大学の南大沢キャンパスで科学論文執筆の英語授業が行われ、日本人学生3人と留学生2人が参加した。研究者を目指す23歳の学生は「英語で論文を書くため、専門科目を英語で学ぶ方が良いと思った。最初はついていけなかったが、今は英語で聞けて考えられる」と語った。
同大学は2027年度から他の学部へプログラムを拡大予定だ。副学長の野口正義氏は「大学全体の国際化を推進する意図の表れだ。外国人教員の積極雇用とシステム整備を進める」と述べた。
東北大学は2027年度に「Gateway College」を新設し、原則全授業を英語で実施。1・2年次は全学部横断の学際コース、3年次以降は専門分野を選択し、海外経験も原則義務化する。早稲田大学政治経済学部は2027年度から全学生に英語授業を必修化。上智大学は科学技術学部に「デジタルグリーンテクノロジー学科」(仮称)を設置し、セミナー、レポート、試験を英語で実施。学部長の澁谷友晴氏は「国際学生へのアピールになる」と説明した。
これらの動きの背景には少子化がある。文部科学省推計では、大学入学者の数は現在の約60万人から2040年までに46万人に減少する。リクルート進学総研の小林博志理事長は「日本国内の学生数は頭打ちだが、世界では高等教育が成長分野。英語授業で優秀な国際学生を確保し、国際競争で生き残る狙いだ」と指摘した。
東京大学工学系研究科は今年度から英語授業を試験導入し、カリキュラムの70%を占める。来年度は日本建築分野を除きほぼ全授業を英語化。工学系研究科長の加藤靖浩氏は「大学院で得た知識を社会に活かすには英語力が不可欠」と語った。一方、同じ研究科の23歳学生は「リスニング力が向上し支持するが、英語でついていく努力で高度な専門内容の理解が心配」との懸念を述べた。加藤氏は「授業中の技術用語に日本語訳を提供するなど調整し、不安なく学べる準備をする」と応じた。
世界の学術界では英語が事実上の共通語となっており、最先端研究の多くが英語論文で発表される。こうした潮流の中で、英語授業の拡大は世界レベルの研究を目指す大学にとって自然な流れだ。