Iceberg QuantumによるqLDPCの進展など、2026年以降の量子ビット数削減技術を踏まえ、最新の研究では2029年までに量子コンピューターがRSA-2048やECDLP-256を解読する可能性があると予測されている。Googleやサイバーセキュリティの専門家は「Qデー」の到来を警告しており、Y2K(2000年問題)を上回る危機を回避するため、企業は量子耐性のある暗号への移行を急いでいる。
2026年初頭以降の研究では、RSA暗号解読に必要な量子ビット数を約10万個まで削減するアルゴリズムの進展などが示されており、RSA-2048やECDLP-256に対する実用的な量子攻撃が2029年までに可能になると予測されている。Googleのチームやサイバーセキュリティ企業は、従来のコンピューターでは解決不可能な問題に取り組む量子ハードウェアの急速な進歩を強調している。
「Qデー」すなわち暗号解読が可能な量子コンピューターの登場は、Y2K問題とは異なり、静かに迫っている。HSBCのフィリップ・インタルーラ氏は「実験的なスケジュールは予想よりも早く進む可能性がある。今すぐ着手した組織は、そうでない組織とは全く異なる立場に置かれるだろう」と説き、シスコのラマナ・コンペラ氏も「準備を始めるべき時期は今日である。いや、むしろ昨日だったかもしれない」と付け加えている。
特に懸念されるのは、将来の解読を目的に現在の暗号化データを保存しておく「今取得し、後で解読する(Harvest Now, Decrypt Later)」という脅威である。QuSecureのレベッカ・クラウトハマー氏は、国家安全保障、銀行、医療、製薬分野へのリスクを警告しており、クレジットカード情報や医療記録、兵器関連データの盗難が懸念されている。最近ではこの問題に関する問い合わせが10倍に急増しており、2029年までのポスト量子暗号への移行は野心的ではあるが実現可能な目標となっている。
SignalやFloなどのアプリがいち早くポスト量子暗号手法を採用しており、Google Chromeも2027年までの安全性確保を目指している。しかし、病院やインフラにおけるレガシーシステムには課題が残っている。ビットコインなどの暗号資産は、分散型合意形成の仕組みからくる難題に直面しており、ウォレットの盗難が「Qデー」の到来を告げる初期の兆候になる可能性がある。