東京圏でベビーカーや車椅子利用者が利用しやすい広いオープンスペースを備えた電車が増えている。西武鉄道が先駆けとなり、京王電鉄も来年初頭から同様の車両を運行開始する。子育て中の親からは、電車利用がしやすくなったとの声が上がっている。
京王電鉄は10月下旬、新たな車両モデルのお披露目式を開催した。ゲストとして招かれた44歳のテレビパーソナリティ、藤本美貴さんは3人の子ども(5〜13歳)の母親で、過去の苦い経験を語った。「最近まで、他の乗客からベビーカーを畳むよう文句を言われました」と述べ、子連れでの電車移動の難しさを明かした。藤本さんはベビーカーを押しながら荷物を持ち、頻繁に電車を利用しており、新車両に喜びを表した。「子育て世代や車椅子利用者など、さまざまな人が安心して乗れるスペースができます。」
京王の2000系電車は各10両編成で、1両あたり14席を撤去してオープンスペースを確保。大きな窓から子どもたちが外の景色を楽しめる設計だ。同社は新型コロナ禍で通勤客が減少したことを受け、子育て世代や高齢者の電車利用を促進するため導入を決めた。現在運用中の84本726両のうち、2027年3月までに4本で1両ずつを置き換える計画だ。京王関係者は「どの世代の人にも電車を利用してほしい」と語った。
国土交通省の2014年報告書は「公共交通事業者はベビーカー利用者が畳まずに乗れるよう配慮すべき」と指摘していたが、現実は混雑時の利用を避けたり、スリングを使ったりするケースが多い。西武鉄道は2017年に池袋線・新宿線などで26本の車両に1両ずつ導入。都営地下鉄は2019年から三田線・浅草線・新宿線・大江戸線各71本に2両ずつ、子どもに人気のキャラクターで内装を飾った車両を運行している。
一方、こうした車両はまだ少なく、周知が課題だ。中央大学の上山哲夫教授(都市交通計画専門)は「アクセシビリティ向上の質の高い取り組みは新しい動きだ。子育て世代だけでなく、多くの人に良いスペースが導入されたことを知ってもらう必要がある」と指摘。運輸省の小川卓也次長(インクルーシブ社会政策課)は「誰もが簡単に乗れる車両を増やす努力を続ける」と述べた。