シカゴ大学の研究チームは、光共振器システムにおける基本的な調整を用いることで、複雑な量子もつれ状態を生成する簡便な手法を開発した。この手法は既存の実験装置を活用するもので、量子センシング分野の応用を前進させる可能性がある。研究成果は「Physical Review X」誌に掲載された。
シカゴ大学プリツカー分子工学スクールのチームが提案したこの技術は、光共振器内の原子群の励起状態エネルギーをシフトさせるというものだ。これにより、システムの対称性を低下させつつ制御可能な状態を維持し、さまざまな高度な量子もつれ状態の形成を可能にする。研究のシニアオーサーであり分子工学の教授を務めるアシッシュ・クラーク氏は、「多くの物理プラットフォームで見られる単純な要素を、最小限の方法で組み合わせることで、興味深く複雑で強力なものを生み出そうと考えた」と述べている。この手法は、ノイズ耐性を備えた磁場勾配の測定を可能にすることで量子センシングを支援する。また、磁性材料や将来の量子コンピューティングへの応用が研究されてきたAKLT状態のような状態を安定化させることもできる。現在この研究は理論段階にあるが、実験による検証が計画されている。本研究は、米国エネルギー省の国立量子情報科学研究センターであるQ-NEXTの支援を受けている。