国際研究チームが、コバルト内部において室温で安定して存在する複雑なトポロジカル電子状態のネットワークを解明した。この発見は、長年研究されてきたこの金属に関する数十年来の前提を覆すものであり、スピントロニクスや量子技術への応用の可能性を示唆している。
ヘルムホルツ・センター・ベルリン(HZB)のハイメ・サンチェス=バリーガ博士率いる研究チームは、BESSY II施設にてスピン・角度分解光電子分光法を用い、コバルトの電子構造をマッピングした。その結果、スピン偏極した状態がギャップを形成することなく交差する複数の磁気節線(磁気ノードライン)が特定された。これらの交差点では、電子が質量ゼロの粒子のように振る舞い、特定の結晶方向に高速で移動することが可能となる。このスピン偏極は、材料の磁化方向を変えることで反転させることができる。マイア・G・ベルニョーリ博士らを含むチームによる第一原理計算は、実験結果を裏付けるとともに、結晶の鏡面対称性がこれらの節線を保護していることを示した。本研究成果は2026年に「Communications Materials」誌に掲載された。この研究にはドイツ、スペイン、英国、カナダの各機関の科学者が参加しており、他の一般的な強磁性金属にも同様の隠れた量子特性が存在する可能性を示唆している。