専門家、高校無償化で私立優位を懸念 公立の衰退恐る

来年4月から、高校授業料の支援所得制限が撤廃され、私立高校への通学が事実上無償化される。政府は教育機会の公平化を目指すが、専門家はこれにより公立校の人気低下を懸念している。私立の設備や進学実績が魅力となり、教育環境の多様性が損なわれる可能性がある。

2025年4月から、高校生1人あたり11万8800円の授業料補助が公私立問わず支給されている。世帯年収590万円未満の私立通学者には最大39万6000円の支援があるが、2026年4月からは所得制限を廃止し、上限を私立の全国平均授業料に相当する45万7000円に引き上げる。これにより、私立高校の授業料が実質無料となる。

さらに、教科書や修学旅行費などの補足奨学金も、福祉世帯から中間所得層に拡大される。私立高校の校長である中島太志氏は、「これまで授業料の負担で私立を諦めていた生徒を引きつけるだろう」と歓迎した。10月の入試説明会で同校を訪れた42歳の女性も、「私立を検討できるようになった」と喜んだ。

一方、大阪府では2024年度から所得制限なしの授業料補助(最大63万円)を段階的に導入しており、今年春の公立高校の志願倍率は過去最低の1.02倍となり、142校中79校が入学者不足となった。東京都も2024年4月から私立支援を最大48万4000円とし、公立の約40%が入学者目標を下回った。一部の東京私立校は校外生を呼び込むためスクールバス路線を拡大している。

河合塾教育情報部の責任者は、「トップ層だけでなく、中堅志願者も進学実績の良い私立を選ぶだろう」と指摘する。文部科学省は、公立の工業・農業高校の衰退を懸念し、今学年中に公立魅力向上策を策定、都道府県に地域別改革計画の策定を求める。

この政策は経済格差是正を目指すが、高所得世帯の利益が大きい。年収590万円未満世帯の補助増は約6万円だが、590万円以上の世帯は33万円超の増加となる。東京大学鈴木歓教授(教育政策)は、「教育の質向上か、公立閉校による通学難か検証し、政策を均衡化すべきだ」と述べた。

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