2026年1月1日の読売新聞社説は、戦火が続く世界情勢下で、日本が国際秩序の受益者から形成者へ転換する必要性を強調している。知的力、経済・技術力、発信力を強化し、自由で開かれたインド太平洋の推進やCPTPPの拡大を通じて、新秩序の構築にリードせよと訴える。
世界は第二次世界大戦後の国際秩序が崩壊の危機に直面している。ウクライナへのロシアの侵略は2月で4年目を迎え、イスラエルとハマスのガザ紛争も持続的な平和が遠い。ドナルド・トランプ米大統領の平和仲介努力はウラジーミル・プーチン露大統領に利用されているように見え、国連や同盟国との協力軽視が解決を遅らせている。
トランプ氏の行動は米中露の大国が力による影響圏支配を求める帝国主義的な危険を想起させる。日本は食料・エネルギーを海外に依存するため、自由貿易や法の支配の基盤が損なわれれば、安全保障と生存が脅かされる。日本は自由・民主主義・法の支配を尊重する国々との協力を強化し、国際世論の形成をリードすべきだ。
日本が10年前に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想は詳細化を要する。日本主導のCPTPPは米離脱後、世界GDPの約15%を占める巨大自由貿易圏に成長した。EUやASEANとの連携強化が鍵で、トランプ氏の保護主義に対抗する。
安全保障面では、英国空母の日本寄港や自衛隊との共同訓練のように、英国・オーストラリア・韓国・フィリピンとの協力を拡大。日米同盟維持しつつ、多層的な枠組みを構築せよ。高市早苗首相の台湾有事発言に対し、中国は日本を非難するが、中国こそ現状変更を試み、台湾統一に武力行使を排除せず、軍事圧力を強めている。
経済力として、IMF推計で今年日本の名目GDPはインドに抜かれ5位へ、2030年までに英国にも抜かれ6位の可能性。AI・半導体・造船への公私投資、Rapidus社の次世代半導体開発、造船業復活、国内AI普及が重要。東京電力や北海道電力の原発再稼働、ノーベル賞技術のCO2分離・回収推進、御南鳥島沖のレアアース泥開発も急務。
国内では自民党の選挙敗北で上院少数与党、国民債務1.3京円超。ポピュリズムの波及やソーシャルメディアのフェイクニュース・AI生成動画が民主主義を脅かす。松下幸之助氏の言葉「民主国家では、民のレベルに等しい政府しか持てない」を思い起こし、国民のメディアリテラシー向上と責任を促す。
ボルテールの原則「他人にして欲しからざること、他人に施すなかれ」を念頭に、言論の場を守れと結ぶ。(約280語)