中国の研究チームは、物質内のエネルギー移動を加速させるためにプロトンの動きを利用する新しいメカニズムを特定した。量子ドットで観測されたこのプロセスは、室温での量子トンネル効果に依存している。これは太陽電池やレーザー、触媒の性能向上に役立つ可能性がある。
中国科学院大連化学物理研究所の呉凱豊教授率いるチームは、「プロトンシャトル支援型三重項エネルギー移動(PS-TET)」を発見した。実験では、セレン化亜鉛(ZnSe)ベースのコロイド量子ドットから、表面に付着したフェノール・ピリジン二量体へとエネルギーが移動した。プロトンは、電子と正孔の移動を調整するために一時的に位置を変え、その後元の位置に戻る。
このシャトルにより、プロトンがない場合と比較して、移動速度と効率の両方が向上した。この速度は温度変化の影響をほとんど受けなかったことから、プロトンは熱駆動型のステップではなく、量子力学的なトンネル効果によって移動していることが示唆される。
呉教授は「PS-TETメカニズムの発見は、分子のスピン三重項励起状態に関わる多くの現代分子技術に重大な影響を与える」と述べた。この研究結果は、こうしたシャトルを追加または除去することで、科学者がデバイス内の三重項生成を必要に応じて調整できるようになる可能性を示唆している。