米国立科学財団(NSF)は、連邦政府の予算削減を受け、海洋観測イニシアチブ(OOI)の係留観測網を大幅に撤去する方針を決定した。科学者らは、この措置によりエルニーニョ現象や大西洋南北熱塩循環(AMOC)の監視に支障が出ると懸念している。
米国沿岸およびグリーンランド沖に展開するこの観測網は、設置以来、海水温、塩分濃度、化学的特性に関するデータを提供してきた。先月、NSFはトランプ政権による予算削減を受け、撤去を発表した。OOIの年間運用コストは5,600万ドルである。NSF当局者は、この決定は変化する科学的優先事項を考慮したものであると説明した。ジョン・エイブラハム氏やヒラリー・パレフスキー氏ら研究者は、この損失が天気予報の精度を低下させ、AMOCの弱体化の兆候を捉える能力を制限することになると警告している。イルミンガー海に設置された観測網は、欧州の気候に影響を与える海流を追跡するOSNAPプロジェクトに寄与している。エドワード・デバー氏は、今回の変更にはNSF助成金の査読を廃止する提案も含まれていると指摘した。ある研究によると、同様の世界的観測装置が5分の1失われるだけでも、海洋の熱量測定における誤差が33%増加することが明らかになっている。