ノースカロライナ州下院法案1232号は、受精の瞬間に生命が始まると宣言する憲法修正案を住民投票にかけるもので、胚や胎児の「意図的」な破壊を殺人未遂または第一級殺人として扱い、さらにその生命を守るために「何人であれ」必要に応じて致死的な武力行使ができると規定する内容となっている。
ノースカロライナ州下院の共和党議員らは、州憲法に新たな条項を追加する憲法修正案として、下院法案1232号を提出した。同法案は「明確かつ独立した人間の生命は受精の瞬間に始まる」と宣言し、州法上の個人として認めるものだ。修正案の条文では、「他者の生命を意図的に破壊しようとする者」は殺人未遂罪に問われ、破壊に成功した場合は第一級殺人罪に問われると記されている。また、「何人であれ」自身の生命、あるいは他者の生命を「意図的な破壊」から守る権利を有し、「必要であれば致死的な武力行使さえも認められる」と明記されている。2026年5月13日に提出されたこの案は、2026年の総選挙で住民投票に付される予定であり、承認されれば2027年1月1日に発効する。受精の時点からの法的人格を定義するこの提案に対し、法律家やリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖の健康)の支持者らは、中絶のみならず、一部の避妊薬や、胚の作成・保存・廃棄を伴う体外受精(IVF)の実践に至るまで、広範な影響を及ぼす可能性があると警告している。同法案は、審議日程を管理する下院委員会への付託以降、進展は見られておらず、成立の見通しは不透明である。現在、ノースカロライナ州では妊娠12週以降の中絶を制限しており、州法に基づき一定の例外が認められている。こうした背景のもと、憲法修正というハードルの高さも考慮し、中絶の権利を巡る議論の双方は、本提案を、胚に発生の最初期から完全な法的保護を与えようとする一部の反中絶活動家による全米規模の「法的人格」運動の一環として捉えている。なお、法案の主要提案者の一人に名を連ねていたベン・モス下院議員は、提案が批判を浴び全米の注目を集めた後、自身の名前を削除した。これにより、キース・キッドウェル下院議員が唯一の主要提案者として残っている。