ノースウェスタン大学の研究チームは、現実的な電気スパイクパターンを生成し、マウスの生きた脳組織において反応を引き起こすことができる、柔軟な「人工ニューロン」の印刷に成功したと発表した。4月15日付の『Nature Nanotechnology』に掲載されたこの研究は、ブレイン・マシン・インターフェースの発展や、脳を模倣したよりエネルギー効率の高いコンピューティングの実現に寄与する可能性があるとしている。
ノースウェスタン大学のマーク・C・ハーサム氏率いるエンジニアチームは、二硫化モリブデン(MoS₂)およびグラフェンのナノスケール薄片を用いた電子インクを用い、ポリマー基板上にエアロゾルジェット印刷を行うことで、柔軟な人工ニューロンを作成したと報告した。
研究チームによれば、彼らは他の研究では通常取り除かれる素材の特徴をあえて活用したという。印刷後に安定化用ポリマーを焼き払うのではなく、部分的に分解させたのである。ハーサム氏によると、通電するとポリマーは空間的に不均一にさらなる分解が進み、電流を狭い領域に絞り込む導電性のフィラメントが形成されることで、ニューロンのような突然の電気的応答が生じるという。
チームは、印刷されたデバイスが生物学的なニューロンの通信方法を模した、単一スパイク、連続発火、バースト発火といったさまざまな信号パターンを生成できると報告した。ハーサム氏は、硬いシリコンチップ上に「数十億の同一デバイス」を構築する従来のコンピューティングに対し、脳の組織は「不均一で動的、かつ三次元的」であると対比した。
生物学的適合性を検証するため、研究チームは神経生物学者のインディラ・M・ラマン氏と共同研究を行った。ラマン氏のグループが人工ニューロンの電圧信号をマウスの小脳スライスに適用したところ、人工的なスパイクはタイミングや持続時間といった重要な生物学的特性と一致し、生きたニューロンの活動を確実に引き起こすことが確認された。
研究チームは、このアプローチが将来の神経補綴学やブレイン・マシン・インターフェースを支えるとともに、エネルギー消費の削減を目指す脳型コンピューティングの発展にもつながる可能性があると述べている。ハーサム氏は、脳はデジタルコンピュータに比べて「5桁」もエネルギー効率が高いと指摘し、大規模なAIコンピューティングにおける電力および冷却の必要性が、企業をギガワット規模のデータセンター建設へと向かわせ、それに関連する熱や水の需要の問題を生んでいると主張した。
また、チームはこの印刷手法に関連する製造上の利点も強調した。エアロゾルジェット印刷は必要な場所にのみ材料を堆積させる積層造形プロセスであるため、廃棄物を削減し、低コストでの製造を可能にするとしている。なお、この研究は全米科学財団(NSF)の支援を受けて行われた。