日本女性の動画が盗用され、中国語の偽字幕を付けられてソーシャルメディアに再投稿されている。これらの字幕は「琉球は中国領」と主張し、日中関係悪化のさなかで反日感情を煽る狙いがあるとみられる。日本でも中国批判の偽情報動画が投稿されている。
日中関係が悪化する中、日本女性の動画が中国のソーシャルメディアで盗用され、偽の中国語字幕が付け加えられている。2025年12月、X(旧Twitter)上で2人の若い女性のダンス動画が投稿され、字幕には「琉球は中国領で、琉球は沖縄とは呼ばない。釣魚島と台湾は中国領」と記されていた。釣魚島は中国側の尖閣諸島の呼称だ。
読売新聞の調査によると、この動画のオリジナルは関西の施設のプロモーション用で、2025年8月に同施設の公式TikTokアカウントに投稿されたものだった。運営会社の52歳の男性幹部は「政治的な目的で無断使用されるのは許せない」と怒りを語った。
投稿元は2023年に作成された中国拠点のXアカウントで、2025年11月以降、首相の高市早苗氏の台湾有事に関する発言をきっかけに、約15本の類似動画を投稿している。別の動画では、日本人女性が「御疲れ様」と言う場面に琉球に関する偽字幕が付けられていた。
一橋大学の市原舞子教授(国際政治)は「これは中国の影響工作の一環で、政治に無関心な若年層に中国寄りの領土認識を植え付ける狙いがある」と指摘した。米国研究機関NewsGuardの12月報告書によると、ある日本人インフルエンサーの動画が100本以上、Douyinなどで偽字幕付きで投稿され、合計100万の「いいね」を集めた。オリジナル動画はYouTubeにあり、沖縄や領土問題には触れていない。NewsGuardは「親中アカウントが領土紛争での中国主張を強化しようとしている」と結論づけた。
過去には福島第一原発の処理水に関する偽情報が拡散された例がある。
一方、日本国内でも2025年11月以降、中国批判の偽動画がソーシャルメディアに登場。クラウドソーシングプラットフォームで反中動画の脚本・編集依頼が投稿され、東京の動画配信会社が「中国人の捏造迷惑行為を描く」などの求人を出した。同社は読売新聞に対し、YouTubeに偽内容の動画を配信したことを認め、「YouTubeはエンタメなので、100%正確でなくてもいい」と述べた。プラットフォームは12月初旬にこれをガイドライン違反としてブロックした。
国際日本大学の山口晋一准教授(ソーシャルインフォマティクス)は「これにより日本人の反中感情や外国人嫌悪が助長される恐れがある。インターネットの性質を知らない視聴者は他の情報源で検証すべきだ」と警告した。