1987年に任天堂から発売された『パンチアウト!!』の英語版において、マイク・タイソンが起用される前の貴重なプロトタイプが、2026年3月27日のオークションで4万5000ドルで落札された。落札者は「The Cutting Room Floor」を通じてROMデータをオンラインで公開し、製品版とは異なる独自の違いが明らかになった。このバージョンにはマイク・タイソンがラスボスとして登場せず、初期のデバッグ機能が含まれている。
このプロトタイプは、日本のゴールド版や1990年のMr. Dream版とは異なり、基板のデザインや市販品に近いカートリッジのアートワークから、オークションでは当初懐疑的な見方もあった。コレクターたちは、通常プレースホルダーのラベルが使われるNES(北米版ファミリーコンピュータ)のプロトタイプと比較して、これらが異例であると指摘した。しかし、Video Game History Foundationは、任天堂が1987年のウィンターCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で『パンチアウト!!』を発表したことや、最終リリースの1カ月前にトーナメント優勝者へゴールド版が配布されていたという歴史的背景を挙げ、その信憑性を強調した。プロトタイプのカバーアートの可能性をめぐる歴史的文脈によれば、1986年のヘビー級世界選手権でのマイク・タイソンの試合を観戦した任天堂オブアメリカ社長の荒川實氏が、ボクサーの追加を決定したとされる。The Cutting Room Floorは重要な相違点を記録しており、オープニングのクレジットロールには、シリーズには登場しない「Rockyhead」や「Mongol Khan」というファイターの名前が記載されていた。また、後に「Soda Popinski」として知られるキャラクターが、1984年のアーケード版『スーパーパンチアウト!!』の「Vodka Drunkenski」としてリストされている。デバッグメニューでは、未完成の対戦相手を操作したり、動きのセットを切り替えたりすることが可能だが、アニメーションが不完全なため視覚的なバグが発生することが多い。今回の公開は、任天堂の象徴的なNESタイトルの開発過程を垣間見る貴重な機会となった。