新就任の農林水産大臣、鈴木憲和氏は、米生産政策を需要に基づくものに改める意向を示した。石破茂前首相が3カ月前に導入した生産拡大政策からの転換で、農家の懸念を考慮したものだ。一方、高止まりする米価は消費者負担を増大させている。
鈴木憲和農林水産大臣は10月の就任会見で、「需要に基づいて米を生産することは重要で基本的なルールだ。安心で将来を見据えた農業政策を推進する」と強調し、石破政権の8月の閣議決定を変更する意向を示した。
2025年の主食用米生産量は前年比10%増の748万トンと見込まれ、2026年は5%減の711万トンに落ち込む予想だ。2026年度の需要見通しは694万~711万トンで、政策変更は最大需要に沿ったものと農水省は説明する。3月に策定された食料・農業・農村基本計画では、輸出や加工米向けに中長期的な生産拡大を目指す方針が示されており、鈴木氏は「基本計画の下での需要に基づく米生産政策は変わらない」と述べた。
一方、米価は7月に政府備蓄米の放出で5キロあたり3500円台に下落したものの、現在は9週連続で4000円台を維持し、5月中旬の過去最高値4285円に迫っている。石破氏は「3000円台に抑える」と強く意欲を示し、前農水相の小泉進次郎氏は備蓄米放出で価格抑制を図った。鈴木氏は10月27日のテレビ番組で、「米価は市場で決まるべきだ。具体的な価格を約束しない」とし、需給安定による価格安定を強調した。
高騰を受け、民間による海外米輸入が急増。2025年度上半期の輸入量は8万6523トンで、前年同期比200倍超。関税341円/キロを課せられるが、国内米より安価だ。イオンは6月からカリフォルニア産カルロース米を販売し、8月には4キロあたり2138円に値下げ。1万4000トンを輸入し、好評を博している。
農家からは支持の声も。「管理放棄地の水確保は容易でない。指示通りに生産を増やせない」と山形県南陽市の60歳農家が語る。一方、宮城大学名誉教授の小泉和幸氏は、「小泉氏の迅速な対応は消費者向け政策を示した。鈴木氏は農水省出身で生産者視点が強い」と指摘した。