ブルー・オリジンがNASAの契約を獲得、月面ローバーの輸送へ
NASAはブルー・オリジンに契約を授与し、VIPERローバーを月の南極に輸送する。商業月面ペイロードサービスプログラムの一部であるこの取引は、潜在的な水氷資源の探査を目指す。ミッションは2024年末に予定されている。
NASAは2023年11月13日に、ジェフ・ベゾスが設立した宇宙企業ブルー・オリジンを選定し、同機関の揮発性物質調査極域探査ローバー(VIPER)を月面南極に輸送すると発表した。この契約は1億1,690万ドルの価値があり、NASAの商業月面ペイロードサービス(CLPS)イニシアチブの下にあり、民間企業と提携して科学ペイロードを月に運ぶものである。
ゴルフカートサイズのVIPERローバーは、ブルー・オリジンのブルームーン・マーク1着陸船で打ち上げられる。ミッションは2024年第4四半期に予定されており、フロリダ州ケープカナベラルからユナイテッド・ローンチ・アライアンスのアトラスVロケットを使用する。着陸後、VIPERはノービレ・クレーター地域を約100日間横断し、アルテミス・プログラムの下での将来の有人探査を支援する可能性のある水氷や他の揮発性物質をマッピング・分析するための機器を搭載する。
「このミッションは、月面南極の環境とそこでの水氷の分布をより良く理解するのに役立つでしょう」と、NASA惑星科学部門長のロリ・グレイズ氏は述べた。ブルー・オリジンの選定は競争入札プロセスを経てのもので、2023年初頭にアストロボティックが当初選ばれたが、ミッションプランの変更により契約が調整された。
ブルー・オリジンの関与は、NASAの月面努力における同社の役割を拡大するものである。同社はNASAの持続可能な探査・表面能力プログラムを通じてブルームーン着陸船を開発中である。このCLPSタスクオーダーは、商業着陸船がNASAの科学を月面に確実に輸送できることを証明する重要なステップであり、より頻繁でコスト効果の高いミッションへの道を開く。
この契約は、NASAが民間産業を活用して深宇宙探査を行う戦略を強調している。輸送をアウトソーシングすることで、NASAはローバー開発と科学的目標に資源を集中できる。VIPERの知見は将来の月面基地のサイト選定に役立つ可能性があり、月が火星ミッションへの踏み台としての潜在力を示している。