ポルシェデザインは、スイスのグレンヘンに新しい時計製造拠点「Timepieces Manufaktur」を開設し、ゾロトゥルンの旧工房から移転した。新拠点は、1955年に建設された旧エテルナ社の工場を改装した約3,600平方メートルの施設である。自動車製造で培われたリーン生産方式を採用し、ポルシェの車両に合わせてカスタマイズされた時計の組み立てを強化している。
グレンヘンに新設されたこの拠点は、ポルシェデザインの時計製造事業にとって大きな飛躍を意味する。以前のゾロトゥルンの拠点が手狭になったことを受け、1995年にフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが購入した歴史あるエテルナの建物へ移転した。エテルナ社は2014年に自社生産へ移行するまで、同地でポルシェデザインの時計を製造していた。3年以上にわたる改装を経て近代化された施設には「Porsche Design Timepieces Manufaktur」の看板が掲げられ、部品製造よりも組み立てに重点を置いている。社内の時計職人が高い専門性を有しているものの、外部から調達したキャリバーを改良して使用している。生産ラインはポルシェの自動車工場から着想を得たジャストインタイム方式を採用しており、ストックルームで選定された部品がケースに入れられ、空調管理されたコンベアベルトで「ゼロエラー」原則のもと各組み立てエリアへと運ばれる。時計はすべて受注生産であり、ダイヤル、レザー、ホイールデザインを模したローターなどを顧客のポルシェ車と組み合わせることで、数百万通りの構成が可能となっている。現在の生産量は以前の水準と同等だが、将来的な垂直統合など拡大の余地も残されている。建物の下層階はコレクター向けの展示スペースとなっており、現行モデルや歴史的なモデルの展示、ラウンジ、バー、DJブース、ポルシェ911を中心としたコンフィギュレーションエリアが完備されている。階段の手すりに自動車内装と同じ「ガーズレッド」のレザーが使用されるなど、自動車部門と時計部門の相乗効果が随所に散りばめられている。ポルシェデザインによると、売上の70%をカスタムオーダーが占めており、残りの30%は「クロノグラフ 1」や「スポーツクロノ」などのモデルで構成されている。同社はこれらのモデルを今後も着実にアイコンとして発展させていく意向である。