エルサレム・ヘブライ大学の研究チームは、ゼブラフィッシュが他の魚に近づこうとする数秒前に、脳内で協調的な活動パターンが生じることを報告した。また、その信号の強さは個体ごとの社会性の違いに関連していることが明らかになった。
ゼブラフィッシュを研究する科学者たちは、魚が他の魚に向かって泳ぎ出す数秒前に、脳全体で神経活動パターンが現れることを突き止めた。これは、神経系が動きを目視できるよりも前に、社会的な相互作用の準備を始めていることを示唆している。
サイエンスデイリーが伝えた同大学のニュースリリースによると、この研究はエルサレム・ヘブライ大学のリラ・アビタン博士が主導し、博士課程の学生であるイムリ・リフシッツらがアビタン氏の研究室で実施したものである。
実験では、1匹の魚が近くを泳ぐ別の魚を観察・応答できるシステムを用い、観察側の魚の脳全体で起こる活動をリアルタイムで記録した。その結果、接近行動をとる前に、大脳皮質(パリウム)のニューロンで活動が上昇する一方、他の脳領域では活動が低下し、いわゆる「決断前の神経状態」が形成されることが判明した。
研究チームによれば、この分散型の活動パターンを用いることで、接近行動が起こる直前であるか否かを予測できるという。また、この神経的な特徴の強さは個体によって異なり、信号が強い個体ほど全体的に社会性が高い傾向にあることも報告された。
「本研究は、動きが始まる前に現れる社会的な接近行動の脳全体にわたる神経的特徴を特定しました」とアビタン氏は述べている。「この特徴は、これから行われる行動が社会的であるかどうかだけでなく、その個体がどの程度社会的な動機付けを持っているかまでを予測できるのです」
『Distinct distributed neural dynamics predict pallium-dependent social approach(パリウムに依存する社会的な接近を予測する分散型の神経ダイナミクス)』と題されたこの研究論文は、2026年4月9日に『Nature Communications』誌で公開された。