国際研究チームが、成体のショウジョウバエの脳から腹部神経索にいたる神経接続の完全な地図を初めて発表した。この研究により、多くの行動が脳の中央制御ではなく、分散した局所回路から生じていることが明らかになった。このコネクトームは6月8日付けの科学誌「Nature」で公開された。
ハーバード大学医学大学院とプリンストン大学の研究者らが主導したこの取り組みは、以前作成された脳のみの地図を拡張し、運動を制御し身体からの感覚入力を処理するハエの腹部神経索を含めるものとなった。この地図は、脚や羽などの部位の運動制御が主に局所的な神経回路を介して行われ、それらが互いに連携していることを示している。この発見は、脳を単一の司令塔とみなす従来の通説に異議を唱えるものだ。データセット全体は現在オンラインで無料公開されており、BRAINイニシアチブの一部支援に加え、アメリカ国立衛生研究所(NIH)およびアメリカ国立科学財団(NSF)からの資金提供を受けている。科学者らは、このリソースが神経系がいかにして種を超えて行動を生み出すのかという新たな仮説の検証に役立つとしている。またチームは、ハエの効率的な組織構造がより高性能なロボットやAIシステムの設計に知見をもたらす可能性があるとして、人工知能に対する示唆にも言及した。