オーストラリアの大学による新たな研究で、カルシウムサプリメントは高齢女性の認知症リスクを高めないことが示された。この知見は、1,400人以上の参加者を対象とした長期研究に基づき、以前の認知効果に関する懸念に反するものである。専門家は、骨粗鬆症予防のためにカルシウムを摂取する人々を安心させる結果だと述べている。
エディス・コーワン大学、カーティン大学、西オーストラリア大学の共同研究では、高齢女性においてカルシウムサプリメントが認知症のリスクを高める証拠は見つからなかった。2025年にThe Lancet Regional Health - Western Pacificに掲載されたこの研究は、パース高齢女性長期追跡研究のデータを分析した。
この調査は、骨折予防を目的とした5年間の二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験から派生した。その試験では、1,460人の女性がランダムにカルシウムサプリメント群またはプラセボ群に割り当てられ、各群730人であった。研究者らはその後、参加者をさらに14.5年間追跡し、認知健康の結果を追跡した。
「カルシウムサプリメントは、骨粗鬆症の予防や管理のためにしばしば推奨されます」とECUの博士課程学生、ネガル・ガセミファルド氏は述べた。70歳以上の女性の約20%が骨粗鬆症を患っており、骨折を避けるためにカルシウムが一般的な推奨事項となっている。
以前の観察研究では、カルシウム使用と認知症の潜在的な関連が示唆されていたが、この事後解析では食事、生活習慣、遺伝、補給量などの要因を調整した結果、関連は見られなかった。「私たちの研究は...5年間の二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験の事後解析で構成されました」とECUの上級研究員、Marc Sim博士は説明し、交絡変数を低減する設計の強みを指摘した。
この結果は特に80歳以上の女性に適用され、このグループに安心感を与えるものである。しかし、ECU精密健康センター所長のSimon Laws教授は限界を強調した：「これが男性や人生の早い段階で補給を開始する女性などの他の人口集団に外挿可能かどうかは不明です。」彼は、脳の健康を主要アウトカムとする将来の試験を呼びかけ、ビタミンDを含む可能性を提案した。
Dementia Australiaの名誉医療顧問、Blossom Stephan教授は、この知見を歓迎した：「これらの結果は、長期的なカルシウム補給が高齢女性の認知症リスクを高めなかったことを安心させるものです。」
全体として、この研究は骨粗鬆症患者の懸念を和らげるが、全人口集団での安全性を確認するためのより広範な研究の必要性を強調している。