長年オープンソースに貢献してきたDylan M. Taylor氏は、米国の州レベルで定められた年齢確認法への対応をLinuxディストリビューションが円滑に行えるよう、systemdのユーザーデータベースに任意の「birthDate(生年月日)」フィールドを追加した。この変更はLinuxコミュニティ内で激しい議論を巻き起こし、Taylor氏に対する嫌がらせや殺害予告にまで発展した。インタビューの中で同氏は、この追加は検証ではなく単純な自己申告に基づくものだと主張した。
Arch LinuxインストーラーやNixOSパッケージ、その他様々なFOSSプロジェクトへの貢献で知られるDylan M. Taylor氏は、最近、systemdのユーザーデータベースに任意のbirthDateフィールドを追加するプルリクエストを提出した。この機能は、Linuxディストリビューションが、侵襲的なチェックを強制することなく、米国各州で浮上している年齢確認要件を満たすための軽量な手段を提供することを目的としている。Taylor氏は、このフィールドは自己申告制であり、空値も許可され、ローカルに保存されるため、厳密な本人確認とは一線を画すと強調した。監視リスクを懸念する声に対し、同氏は「OSレベルの監視へ向かおうという意図は決してありません」と回答。既に位置情報などの類似フィールドが存在すること、またユーザーが任意の値を入力できるため追跡には適さないことを指摘した。批評家はこの変更を政府による行き過ぎた介入への第一歩と見なしたが、Taylor氏は、ValveやSystem76などが提供する企業支援型のディストリビューションが、クローズドなシステムの代替として存続するためには法規制への準拠が不可欠であると反論した。「規制を完全に無視すれば、企業が貢献を躊躇するような存在にLinuxがなってしまうリスクがあります」と同氏は述べている。反発は急速にエスカレートし、Taylor氏は個人情報の暴露(ドクシング)、誹謗中傷メール、殺害予告、人種差別、同性愛嫌悪、反ユダヤ主義的な攻撃にさらされた。同氏はGitHubリポジトリのIssueとプルリクエストのタブを無効化し、身に覚えのない出前や宗教関係者の訪問といった迷惑行為にも対応しなければならなかった。こうした代償にもかかわらず、Taylor氏はFOSSへの貢献を続ける意向だ。「私は今もLinuxとフリーかつオープンソースのソフトウェアを愛しています」と語り、Arch LinuxやUniversal Blue/Bazziteの協力的な開発者たちに感謝を示した。Taylor氏は、今後「準拠」を重視する企業主導のディストリビューションと、「自由」を優先する独立系ディストリビューションに分かれる未来を予測しており、Calamaresインストーラーのようなツールでの選択的な実装を推奨している。