ドナルド・トランプ米大統領は、ベネズエラの首都カラカスなどへの大規模攻撃を成功裏に実施したと発表した。ニコラス・マドゥロ大統領夫妻は拘束され、ニューヨークに移送された。この行動は、麻薬密輸を口実に国際法を無視したものとして、国連や国内から強い批判を浴びている。
2026年1月3日頃、米国軍はベネズエラに対して軍事攻撃を開始し、反米政権を転覆させた。トランプ大統領は土曜日にこの攻撃を公表し、マドゥロ大統領夫妻が麻薬密輸容疑で起訴されているとして、ニューヨークでの裁判を予定していると述べた。トランプ政権は、ベネズエラ経由の麻薬流入を「米国に対する武力行使」と位置づけ、密輸組織の船艇を攻撃してきた経緯がある。
しかし、国連憲章は他国に対する武力行使を原則禁止しており、例外は国連安保理決議や自衛権行使に限られる。今回の攻撃では、国連や米議会への事前通告がなく、自衛権の正当性が十分に説明されていないため、米国国内でも権力濫用との批判が起きている。民間人の死傷者も報告されており、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「国際法が尊重されていない」と懸念を表明した。安保理は月曜日(1月6日)に緊急会合を予定している。
歴史的に、1989年のパナマ侵攻では麻薬撲滅を名目に反米政権を打倒した前例がある。トランプ政権の国家安全保障戦略では、ラテンアメリカを含む西半球を影響圏とし、関与を強化する方針を掲げている。特にベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を有し、トランプ氏は反米政権下で失われた米石油利権の回復を意図しているとみられる。
この「力による平和」を掲げる政権の行動は、ラテンアメリカに留まらず、中国やロシアの現状変更を助長する恐れがある。中国とロシアは攻撃を国際法違反と非難したが、ロシアはウクライナ侵攻を続け、中国は台湾統一で武力行使を排除していない。こうした大国間の力の衝突が国際秩序を崩壊させる中、日本は欧州諸国と連携し、国際法遵守を主張すべきだ。(ヨミウリ新聞社論より)