政府の防衛予算増加に伴い、レーダーやミサイルなどの防衛資材を専門とするメーカーが、従業員拡大と資本支出の増加を進めている。2023年度からの5カ年計画による予算拡大と、高市早苗首相の積極的な防衛政策が背景にある。企業はさらなる受注拡大を見込んでおり、防衛関連事業が成長分野へと進化している。
政府の防衛予算増加が、電子機器や重工業の企業に追い風となっている。2022年末に決定された防衛力整備計画では、2023~2027年度の防衛費総額を43兆円に引き上げる方針が示され、2019~2023年度の1.5倍に相当する。高市政権下で策定された2025年度補正予算では、安全保障関連費として約1.1兆円が充てられ、国内総生産(GDP)の2%への防衛費目標が予定より2年早く達成された。
NECは、航空・宇宙・防衛事業を統括する永野博之執行役員が11月の投資家向け説明会で、「防衛省が優先する宇宙、サイバー、電磁波戦の分野は我々の強みだ。政府がこれらに多額投資すれば、市場シェアの拡大につながる」と語った。同社の調達庁との契約額は2024年度に3117億円となり、2022年度比で約3倍に増加した。2020年度比で防衛事業従業員を2025年度末までに1600人増やす計画を発表し、生産施設も5万平方メートル拡大する。
三菱重工業の伊藤栄作社長は11月の記者会見で、「政府の政策は防衛分野を優先する。政府からの要請が強まれば、受注も増える」と述べた。同社の防衛事業売上高は2023年度約5000億円で、2026年度には1兆円規模への倍増を見込み、従業員を40%増やす。三菱電機は2030年度に防衛売上6000億円超を目指し、2025年から8カ所の新工場を順次建設する。
従来、防衛事業の利益率は約8%と低く、大規模投資に見合ったリターンが得られず多くの企業が撤退した。防衛省は納期短縮などの努力に応じて利益を上乗せし、最大15%への引き上げを進めている。東芝は4月に防衛新事業拡大推進本部を設置し、空港や原発、自衛隊基地向けの不審ドローン検知・追尾・捕獲システムを開発した。拓殖大学佐藤省吾教授は、「グローバルな防衛需要の高まりを受け、日本企業は海外展開を加速し、国際競争で勝つ必要がある」と指摘した。