研究チームが、帯電したビスマス-炭素分子において、特殊相対性理論が化学結合を変化させる様子を初めて観測した。この発見は、シグマ結合とパイ結合に関する標準的なモデルに一石を投じるものである。今回の成果は、精密な電子マッピングと理論計算によって達成された。
ブラウン大学のライ・シェン・ワン氏率いる研究チームは、当該分子を作成し、振動を抑えるために冷却を行った。電子分布をマッピングした結果、2つの結合が従来の分類に当てはまるものではなく、シグマ結合とパイ結合の性質を混合していることが判明した。
ワン氏は、この結合は従来の理解とは異なり、標準的なシグマ型やパイ型とは呼べないと述べている。ワシントン州立大学のカーク・ピーターソン氏は、計算を通じて、ビスマス原子核付近の電子が相対論的な速度に達することでこの現象が生じていることを裏付けた。
ヘルシンキ大学のペッカ・ピュッコ氏は、実験手法と理論的手法が理想的であったと評価している。この結果は、マックス・プランク石炭研究所での先行研究を基盤として、触媒反応における有機ビスマス化合物の利用に影響を与える可能性がある。
チームは今後、周期表上の近傍元素を用いたさらなる試験を計画している。本研究成果は『サイエンス』誌に掲載された。