テスラは「フルセルフドライビング(FSD)」システムの承認を求める過程で、オランダおよびスウェーデンの規制当局に対し、誇張された安全性統計を提供していた。このデータには、同システムによって3万2000人の命が救われ、190万件の負傷事故が防げたとする主張が含まれていたが、独立した研究者らはその手法に欠陥があると指摘している。
テスラは2024年11月、オランダの道路交通局(RDW)に対し、フルセルフドライビングの利用拡大が道路の安全性向上につながると主張する安全性報告書を添えた書簡を送付した。同局は4月にオランダ国内での同システムを承認しており、現在はテスラに代わってEU全域での承認取得を進めている。
オランダでの決定直後、テスラのポリシーマネージャーであるイワン・コムサナック氏はスウェーデンの規制当局へメールを送り、FSDを搭載した車両は一般的な米国のドライバーと比較して事故発生までの走行距離が7倍以上長いとするプレゼンテーション資料を提示した。この資料では、米国の全車両をFSD搭載テスラに置き換えた場合、3万2000人の命を救えたとも主張していた。
RDWは、外部の統計を鵜呑みにせず、独自のテストを実施していると述べている。スウェーデン交通局の調査官アンダース・エリクソン氏は、規制当局は表面的な数値以上のものを見ていると語った。ノルウェー公道管理局も、テスラの数値は自社で作成されたものであり、公式の事故データと照らし合わせることは困難であると指摘した。
欧州交通安全委員会はテスラに対し、安全性に関する主張を行う前に、データを大学等の第三者機関に提出して検証を受けるよう求めている。