ライス大学の研究チームは、PEX11タンパク質が植物の初期発生段階において、ペルオキシソームの分裂を助けるだけでなく、そのサイズを調節する役割も果たしていることを突き止めた。シロイヌナズナの苗を用いた実験では、PEX11に変異があるとペルオキシソームが異常に巨大化し、通常は成長を抑制するはずの内部小胞が欠如することが明らかになった。このメカニズムは種を超えて保存されていると見られ、酵母のPex11を導入することで植物の変異体でも正常な機能が回復した。
種子から苗へと成長する段階で、シロイヌナズナは光合成が始まるまでのエネルギー源として、蓄えられた脂肪酸をペルオキシソームで分解して利用する。これらのオルガネラは一時的に肥大化した後に収縮するが、このプロセスに長年ペルオキシソームの分裂を助けるタンパク質として知られてきた「PEX11」が関与していることが明らかになった。ライス大学のボニー・バーテル氏率いる研究チームは、この研究成果を『Nature Communications』誌で発表し、PEX11がサイズ制御というさらなる役割を担っていることを明らかにした。筆頭著者のネイサン・サープ氏は、ペルオキシソームがヒトの疾患や生物工学において重要である一方、その研究の難しさを指摘している。バーテル氏は、シロイヌナズナの細胞は大きいため、脂肪酸の分解に依存しサイズがピークに達する時期のペルオキシソームを光学顕微鏡下で観察しやすい利点を挙げた。5つの遺伝子から生成されるPEX11を調べるため、サープ氏は高度なCRISPR技術を用いて特定の遺伝子の組み合わせを欠損させた。単一遺伝子のノックアウトではほとんど影響は見られなかったが、標的を絞った多重遺伝子の欠損では、致死となるか、あるいは欠陥が明らかになった。特定のPEX11遺伝子を欠く生存可能な変異体では、ペルオキシソームは予想通りに肥大化したものの収縮せず、細胞全体を覆うほど巨大になることもあった。これらの巨大ペルオキシソームには、脂肪酸処理の過程で形成され、膜の一部を取り込んで成長を抑制する役割を持つ小胞「イントラルメナル小胞(intralumenal vesicles)」が欠けていた。サープ氏は「小胞が形成される際に膜の一部を取り込むプロセスが、ペルオキシソームの成長抑制に関与している可能性がある」と説明する。驚くべきことに、変異した植物に酵母のPex11を導入するとペルオキシソームのサイズは正常に戻り、このメカニズムが保存されていることが示された。バーテル氏は、この発見がヒトの細胞や生物工学への応用に寄与する可能性を示唆している。