南開大学(天津)と上海空間電源研究所の共同研究チームは、リチウム金属電池向けにハイドロフルオロカーボン(フッ素系炭化水素)ベースの電解液を開発した。室温で従来の2倍以上となる最大700Wh/kgのエネルギー密度を達成し、マイナス70度という極低温環境下でも安定した動作が可能である。2026年2月27日付のNature誌で発表されたこの画期的な成果は、電気自動車(EV)の航続距離を1,000kmに倍増させる可能性を秘めており、航空宇宙分野への応用も期待されている。
南開大学の趙慶(Zhao Qing)教授と陳軍(Chen Jun)教授、および中国航天科技集団傘下の上海空間電源研究所の李永(Li Yong)氏が率いる中国人科学者チームは、新たにフッ素系炭化水素溶媒を用いた電解液を開発した。フッ素原子の電子密度と溶媒構造を最適化することで、リチウム塩の効果的な溶解、優れた湿潤性、電解液量の削減、そして低温下での自由なイオン移動を実現した。
実験室レベルの試験では、室温で従来の電池の2〜3倍となる700Wh/kgのエネルギー密度に達し、当初期待されていたマイナス50度を上回るマイナス70度での効率的な性能を確認した。2026年2月27日付のNature誌に掲載されたこの成果は、「電池の出力およびエネルギー密度の限界を打破する有望な道筋」であると評価されている。
李永氏は3月19日、『科技日報』の取材に対し、この技術によりサイズや重量を増やすことなく、EVの航続距離を現在の500~600kmから1,000kmへ拡大できる可能性があると述べた。陳軍教授は、新エネルギー車、ロボット工学、航空、宇宙、そして極寒環境における活用に期待を寄せている。