研究チームが、遠隔操作可能なゴキブリに小さな潜水用スーツを装着し、水中で最大3時間活動させることに成功した。この開発により、捜索救助活動や宇宙探査においてサイボーグ昆虫の活用の幅が広がると期待される。
シンガポールの南洋理工大学の佐藤裕崇准教授率いる研究チームは、3Dプリント技術を用いて防水性のある樹脂製のスーツを製作した。このスーツは、腹部の気門を覆い、過酸化水素と二酸化マンガンとの化学反応によって生成された酸素をホースを通じて胸部の気門へと供給する仕組みになっている。
スーツを装着されたマダガスカルゴキブリは、水深最大50センチメートルの水中を最長3時間歩行した。陸上での平均移動速度は秒速87.5ミリメートルだったが、水中でも秒速78.4ミリメートルとわずかな低下にとどまり、観察対象となったすべての個体が3日後も健康な状態を維持していた。
今回の研究は、2021年の尾角への電極埋め込みによる遠隔操作や、2024年の20匹のサイボーグゴキブリによる群制御といったこれまでの成果を基盤としている。佐藤氏は、今回のスーツは、将来的に火星探査を行うサイボーグ昆虫向けの宇宙服開発に向けた第一歩であると述べた。
西イングランド大学のアラン・ウィンフィールド教授は、環境モニタリングのような任務において、昆虫が持つ自然なエネルギー効率は小型の機械式ロボットよりも明確な利点があると指摘した。