米下院の共和党指導部は、ドナルド・トランプ大統領が進める絶滅危惧種保護の緩和を法制化する「絶滅の危機に瀕する種の保存法(ESA)改正法案」の採決を取りやめた。「アースデイ」に合わせて行われたこの突然の決定は、観光業が盛んなメキシコ湾岸地域、特にフロリダ州選出の議員らからの懸念を受けたものだ。反対派は、野生生物の生息地や地域経済への悪影響を強く懸念していた。
4月24日水曜日に予定されていた採決の対象は、ブルース・ウェスターマン下院議員(共和党、アーカンソー州選出)が提出した法案だった。同法案は、絶滅の危機に瀕する種の保存法に基づく生息地保護の制限、種の登録に関する経済的・国家安全保障上の分析の義務化、登録期限の延長、および登録抹消の加速を求めるものだ。ウェスターマン氏の事務所は採決中止についてコメントしていないが、同氏は報道機関に対し、近いうちに改めて法案を提出したい意向を示している。今回の動きは、トランプ政権がメキシコ湾での石油・ガス掘削をESAの規制対象から除外したことを受けてのものだが、一部からは法的な妥当性を疑問視する声も上がっていた。エコツーリズムに依存するフロリダ州の共和党議員からは強い反発が出た。アンナ・ポリーナ・ルナ下院議員(共和党、フロリダ州選出)はSNSに「私のウミガメに手を出すな。保護は保護であるべきだ」と投稿。同じくフロリダ州選出のキャット・キャマック下院議員(共和党)も、掘削拡大が州経済に打撃を与えるとの懸念を表明した。同州の経済は、マナティーやフロリダパンサー、多種多様な鳥類が生息するエバーグレーズの生態系から年間300億ドル以上の恩恵を受けている。Defenders of Wildlifeなど275以上の団体は反対を訴える書簡に署名し、同法案が科学よりも政治を優先していると主張した。同団体の立法事務局長メアリー・ベス・ビサム氏は、この法案は回復措置を欠いた全面的な書き換えに過ぎず「自滅すべき法案だ」と酷評した。バーモント・ロー・スクールのパトリック・パレンテオー名誉教授は、反対の焦点はフロリダ沖での石油掘削を阻止することにある可能性があると指摘している。実業家や科学者を含む多数のフロリダ州民も、独自の反対書簡を通じて同様の懸念を表明した。トランプ氏の再登板以降、同政権は化石燃料産業に対するESAの制約を緩和する政策を次々と打ち出しており、生息地保護の撤廃や気候変動対策に関する規則の見直しなどが提案されている。2025年1月以降、議会ではESAを標的とした法案が60以上提出されており、ウェスターマン氏の法案はその中でも最も広範なものだ。専門家は、行政規則による変更は取り消しが可能だが、法律による変更はより長期にわたって深刻な脅威をもたらすと警告している。