電動キックボードの飲酒運転が深刻化する中、警察はシェアサービス大手ループ社に違反車両の情報を提供し始めたが、効果は不明瞭だ。2025年上半期の事故の17.8%が飲酒絡みで、自転車の22倍に上る。事業者は夜間利用制限などの対策を求められているが、対応は限定的だ。
2023年7月の道路交通法改正で、16歳以上なら免許なしで電動キックボードを運転可能となり、利用が急増した。2025年6月時点で主要2社の車両数は約2万8000台、2023年比3.6倍に達し、ループ社のアプリダウンロード数は500万回を超える。一方、国家警察庁によると、改正施行から2025年6月までの事故は586件(死傷あり)、違反は約6万5000件に上る。
特に飲酒運転が問題で、2025年1~6月の163件の事故のうち29件(17.8%)が飲酒絡み。自転車の0.8%の22倍で、多くがシェアサービス車両だ。ループ社は2025年11月に利用規約を改正し、警察からの違反情報に基づき飲酒運転者の利用を停止するシステムを導入。12月9日から渋谷区のレンタルステーションで警備員がアルコール検査を実施する試験運用を開始した。
警察庁は2025年7月、日本マイクロモビリティ協会に夜間サービス停止を要請。飲酒事故の60%が午前0時~5時に発生し、終電後の需要が高いためだ。一部事業者は深夜貸出を停止したが、数は少ない。協会は「有効だが、夜遅く働く人の利便性とのバランスが課題」とする。
新宿区歌舞伎町で11月のある早朝、23歳の男子大学生は「友達の多くが飲酒後に乗っている」と語った。22歳の女性フリーランスは「以前は飲酒運転をしたが今はしない。通勤や遊びの足で、夜遅く使えなくなると困る」と話す。事業者は飲酒警告や繁華街での警備を強化したが、警察幹部は「規制強化と教育を続け、事業者の対応を注視する」と述べる。
日本自動車連盟の実験では、ヘルメット未着用者の頭部損傷が着用者の6.3倍。桜林大学の日置一成教授は「飲酒運転の蔓延は深刻。繁華街近くの夜間利用停止や、新規制の検討が必要」と指摘する。