犯罪率の低下にもかかわらず日本人の安全意識が低下

日本では犯罪件数が歴史的に低い水準を維持しているが、国民の安全意識は低下傾向にある。人口減少やソーシャルメディアの影響、移民増加がこのギャップを生んでいる。アドチ区や川口市などの事例から、この現象を探る。

日本では、2002年に約285万件を記録した犯罪件数が、2021年には56万件まで減少した後、2024年には前年比4.9%増の73万7679件となった。これはパンデミック後の社会活動再開によるもので、依然として早期2000年代の水準を下回る。

国家警察庁(NPA)の2024年10月の調査では、15歳以上の5000人を対象に、公衆安全が過去10年で悪化したとする回答が76.6%に上り、前年比4.8ポイント増となった。最も懸念される犯罪として、69%が「オレオレ」詐欺や投資詐欺を挙げている。

龍谷大学法科大学院の犯罪学教授、浜井浩一氏は、「出生率低下が犯罪減少の長期要因で、犯罪は年齢曲線に従う。青少年の減少が全体を押し下げている」と指摘する。青少年犯罪は2000年代初頭から大幅に減少し、少年矯正施設の統合が進んだ。一方、COVID-19以降、ソーシャルメディア経由の「闇バイト」が特殊詐欺や強盗を引き起こし、高齢者を標的にした事件が増加している。

東京の足立区竹の塚では、犯罪は2000年代初頭のピークから減少したが、2021年の調査で68%が安全性を低く評価した。足立区の設計計画課長、岡腰誠二氏は、「過去に比べ犯罪数は減ったが、新規移住者は不安を感じやすい」と語る。長年住む住民は比較的安全を感じる一方、夜の風俗街や外国人住民の存在がイメージを損なう。

埼玉県川口市では、外国人住民が4万8000人(人口の8%)に達し、中国、ベトナム、フィリピン出身者が主だが、クルド人コミュニティも目立つ。犯罪率は過去10年で低下しているが、2023年7月の病院外での騒動(クルド人絡みの刺傷事件)がソーシャルメディアで拡散され、不安を助長した。2024年2月、日本クルド文化協会のチカン・ワッカス前会長は、反クルド集会主催者に対する訴訟を発表し、「子供たちが安心して教育を受けられるよう重要」と述べた。

首相の高市早苗氏は10月24日の政策演説で、「人口減少による労働力不足で外国人労働者に依存するが、一部の違法行為が国民の不安を生む」と認めた。外国人人口は2004年の197万人から2024年に377万人へ倍増したが、外国人関与の逮捕件数は2005年の1万4786件から2023年の9726件へ減少した。

松山大学の松田辰彦准教授は、「安全意識は統計ではなく個人的経験や近接性で変動し、ソーシャルメディアが恐怖を増幅する」と説明。1970年代の「平均世界症候群」理論を引用し、ネガティブな情報がエコーチェンバーを形成すると指摘する。

足立区では、2023年にコミュニティカフェ「ミントポ」を開設し、イベントを通じて住民交流を促進。運営の花島愛氏は、「当初のイメージとは異なり、住みやすい場所」と実感を語る。これらの取り組みが、統計と感覚のギャップを埋める鍵となるだろう。

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