認定特定非営利活動法人リーチ・オルタナティブ(REALs)の芥屋留美子代表が、第32回読売国際協力賞を受賞した。シリアや南スーダンなどの紛争地で平和構築と人道支援に取り組む活動が評価された。女性や若者の平和構築者育成に注力している。
芥屋留美子氏、48歳は、シリアやアフガニスタンなどの長期的な武装紛争や混乱に苦しむ地域での平和構築活動で、第32回読売国際協力賞を受賞した。REALsの代表として、民族間の紛争防止と女性・若者の平和構築者育成に尽力している。
シリア内戦がほぼ14年続き、昨年末にバシャール・アル=アサド政権が崩壊した後、芥屋氏は10月下旬から11月上旬にかけてアレッポとイドリブを訪問。内戦中から協力する女性グループとともに、対立派閥の共存を促進する「平和の担い手」育成を開始し、住民のメンタルヘルスケアも支援した。現地では空爆で家族を失った同僚もおり、女性や子どもなどの脆弱な立場の人々に高いトラウマがあると指摘。「内戦しか知らない若者たちが暴力に走りがちなので、法と秩序の回復が必要だ。シリアは平和に向かうか、分裂と混乱で戦争に戻るかの岐路に立っている」と芥屋氏は語った。
芥屋氏は17歳の時、ルワンダ虐殺の難民母子の写真を見て紛争に関心を持ち、大学時代に同国を訪れたが無力感を味わい、NGO代表として活動後、英国のブラッドフォード大学で紛争解決を学んだ。アフガニスタン日本大使館や国連平和維持活動で、シエラレオネやコートジボワールに派遣され、約6万人のDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)プログラムで武器回収を推進。戦士が生活を失うのを恐れる中、軍閥や長老を説得した。
30歳頃にNGOの柔軟性を選び、REALs(旧JCCP)に参加。ソマリアや南スーダンで女性避難民や子どもの兵士の自立支援に取り組み、国際ネットワークを拡大。女性の参加を重視し、避難キャンプで声が上げにくい問題を議題に挙げる。REALsはアフガニスタンから320人以上のジャーナリストらを避難させ、1600人に安全な住居を提供した。
シリアでは、南部(アサド政権下)と北部(抵抗勢力)の摩擦、帰還民と残留住民の対立が起き、水や住宅インフラが破壊されている。芥屋氏は地元グループと女性・若者の平和担い手育成を目指す。アフガニスタンでは、タリバン下の女性抑圧が深刻で、秘密裏の国外避難や強制結婚が横行。女性グループと縫製や食品生産の起業を促進し、日本は故・中村哲医師の貢献で好意的に見られている。「紛争地では女性が最大の被害者。女性参加で無視されがちな問題が議題になる」と述べた。
賞の歴史では、1998年の受賞者筑波大学准教授・秋野豊氏がタジキスタンで48歳で銃殺された後、妻の瑶子氏が賞金で秋野豊ユーラシア財団を設立。2000年に芥屋氏が同財団の賞を受け、旧ユーゴスラビアでの民族和解研究に活用。「信念に基づく活動が初めて意味ある形で認められ、前進する勇気を得た」と振り返る。財団事務局長の広瀬義一氏は「世界で活躍する芥屋氏は秋野氏の精神にぴったり」と評価。選考委員長の笹沢毅氏は、芥屋氏の中東・アフリカでのDDR貢献とアフガニスタン支援を「日本が重視する人間の安全保障を実践した女性の物語」と称賛。賞は国際貢献の次世代を育てる役割を果たしている。