南アフリカのステレンボッシュ大学の研究チームは、市販されている3種類の大麻の株を対象に植物成分の分析を行い、大麻の葉の中に「フラボアルカロイド」として知られる希少なフェノール化合物を初めて特定したと発表した。
南アフリカのステレンボッシュ大学(SU)の科学者チームは、市販されている3種類の大麻株に含まれるフェノール化合物を分析し、合計79種類の化合物を特定したと報告した。そのうち25種類については、これまで大麻には含まれていないとされていたものだ。
新たに報告された化合物の中には、研究チームが「フラボアルカロイド」と暫定的に分類した16種類が含まれている。これは自然界ではめったに見られない珍しい分類のフェノール化合物である。今回の研究では、これらのフラボアルカロイドが主に特定の株の葉に集中して存在していることが判明し、大麻の株や部位によってフェノール成分の構成が大きく異なることが浮き彫りとなった。
この研究結果は、2025年に『Journal of Chromatography A』誌(DOI: 10.1016/j.chroma.2025.466023)に掲載された。研究チームは、二次元液体クロマトグラフィーと高分解能質量分析を組み合わせることで、微量な化合物を分離・検出した。
本研究の筆頭著者で、SU中央分析施設のLC–MSラボに所属する分析化学者マグリート・ミュラー博士は、植物由来のフェノール化合物は微量で構造も多様であるため、分析が難しいと説明する。
「ほとんどの植物は非常に複雑なフェノール化合物の混合物を含んでいます。植物界ではフラボノイドは広く存在しますが、フラボアルカロイドが自然界で見つかることは非常に稀です。」
ミュラー博士は、大麻という植物が持つ広範な化学的複雑さについても触れた。
「大麻が非常に複雑であることは知られていますが(750以上の代謝産物を含む)、たった3種類の株の間でフェノール成分の構成にこれほどの差があるとは予想していませんでした。ましてや、これほど多くの化合物を初めて検出できたこと、特にフラボアルカロイドを大麻から初めて発見できたことは非常にエキサイティングです。」
フェノール化合物、特にフラボノイドは医薬品研究において広く研究されており、抗酸化作用や抗炎症作用と関連があることで知られている。ステレンボッシュ大学のチームは、この発見により、これまで低価値な副産物として扱われてきた大麻の葉や花以外の部分に、生物医学研究において重要な意味を持つ未発見の化合物が含まれている可能性があると主張している。
本研究を主導したSU分析化学研究グループのアンドレ・デ・ヴィリエ教授は、本研究で用いた分離技術が希少なシグナルを捉える鍵になったと語る。
「二次元液体クロマトグラフィーの優れた性能により、より多く含まれるフラボノイドからフラボアルカロイドを分離することができました。これが大麻からこれらの希少化合物を初めて検出できた理由です。」
デ・ヴィリエ教授は、今回の結果が、廃棄物と見なされがちな植物材料に新たな価値があることを示唆していると付け加えた。
「我々の分析は、これまで廃棄物と見なされてきた大麻の植物材料が持つ薬学的な可能性を改めて強調するものです。大麻は豊かでユニークな非カンナビノイド系フェノール成分を持っており、これは生物医学研究の観点から価値がある可能性があります。」