日本銀行の植田和夫総裁が12月1日の講演で政策金利引き上げの可能性を示唆したことで、国債利回りが上昇し、円高が進んだ。これにより日経平均株価は下落した。市場では12月19日の政策決定会合での利上げ確率が高まっている。
日本銀行の植田和夫総裁は12月1日、名古屋の地元実業家向け講演で、「政策金利を引き上げるメリットとデメリットを検討し、適切な決定を行う」と述べ、国内・海外の経済、物価、金融市場を注視すると強調した。植田氏は、経済見通しの実現可能性が高まっており、金利引き上げ後も緩和的な条件が維持されるとの認識を示した。この発言は、12月19日の金融政策決定会合での利上げを示唆する最も明確なシグナルと受け止められた。
市場反応は即座に現れた。2年物国債利回りは2008年以来の高水準となる1.00%に1ベーシスポイント上昇。5年物は1.35%、10年物は1.845%にそれぞれ4ベーシスポイント上昇し、17年ぶりの高値を更新した。為替市場では円が対ドルで最大0.4%上昇し、155.49円まで強含んだ。
株式市場では、日経平均株価が午前中の取引で1.68%安の49,407.31円で引け、4連騰後の反落となった。トピックス指数も1.01%安の3,344.48。岩井コスモ証券の島田和明首席ストラテジストは、「大きな材料はなかったが、国債利回りの上昇と円高に市場が反応した。最近の円相場変動には鈍感だったが、今日のセッションは違った」と指摘した。半導体関連のアドバンテストは4.37%安、ファーストリテイリングは1.58%安で指数を押し下げた。一方、利上げ期待で銀行株は上昇し、三井住友フィナンシャルグループは2.75%高、三菱UFJフィナンシャル・グループは2.33%高となった。
オーバーナイト・スワップ指数によると、12月利上げの確率は64%から76%と市場で見込まれ、1月までの確率は90%に上る。東証33業種中31業種が下落し、エネルギー探鉱が3.55%安で最悪、銀行指数は1.96%高で首位となった。