鹿児島県のJR肥薩線・霧島市のカレイガワ駅では、豪雨で列車が不通となって以来、家族が手がけるエキベンが人気を博している。この駅弁は今春、15年ぶりに九州駅弁グランプリで優勝した。災害の影響下でも、地元産食材を使った素朴な味わいがファンを引きつけている。
霧島市のJR肥薩線・カレイガワ駅は、2023年8月の豪雨で列車が不通となって以来、無人駅となっている。それでも、駅前には週末や祝日にエキベンを求めて車で訪れる客が列をなす。
この「百年旅物語 カレイガワ」駅弁は、2004年2月に地元観光協会の駅弁コンテストで山田真弓さん(68)が考案した。100年前の旅行者のイメージで作った素朴な弁当が審査員の心を掴み、同年3月から販売開始。内容は、しいたけとたけのこで炊いたご飯、鹿児島弁で「ガネ」と呼ばれるさつまいもの天ぷら、だしで煮込んだ大根の細切りで、肉や魚は使わず、地元産の野菜中心。価格は1,800円。
当初は売上が低迷したが、2004年6月に「はやとの風」観光列車の乗務員に試食を勧め、池田由佳さん(51)らがその味を絶賛。JR九州が車内販売を依頼し、人気が急上昇した。以降、山田さん、夫の文昭さん(76)、長女の今別府加代さん(43)が自宅の調理施設で毎週朝から作り続けている。
2008年から2010年まで3年連続でファン投票1位を獲得。2020年7月の九州豪雨で線路が一部不通となり、「はやとの風」は2022年3月に廃止。霧島の吉松~隼駅間もさらに豪雨で不通が続き、復旧の見通しは立っていない。
それでも山田さんは諦めず、「駅は普通、電車のためですが、私の駅弁を買いに車で来てくれるお客さんがいる」と語る。11月3日には110個が1時間で完売。広島県の会社員(44)は「他の駅弁では味わえないシンプルな味。食べたら忘れられない」と話した。
今春、15年ぶりにグランプリ優勝。JR九州は今年末までの復旧は難しいと予測するが、山田さんは「美味しい駅弁を作り続け、地元を活性化させたい。電車でカレイガワに来られる日を待つ人たちのために」と意欲を語る。