近畿大学の学生、津寄浩司さんが、南海トラフ地震を想定した夜間の避難訓練をゲーム形式で実施した。和歌山県海南市の清水地区で初の試行が行われ、住民らが障害者を伴う避難をシミュレートした。参加者は48分以内の津波到達を意識し、実際の課題を学んだ。
和歌山県海南市の清水地区で、近畿大学4年生の津寄浩司さん(21)が考案した「協力型夜間脱出ゲーム」の初試行が行われた。この地区では、南海トラフ地震が発生した場合、最大8メートルの津波が襲う可能性があり、1メートルの津波が48分で到達すると予測されている。
津寄さんはコミュニティセンターに集まった25人の参加者(住民、高校生、県職員)に対し、「48分は十分に逃げられると思うかもしれないが、本当にそうか?」と問いかけた。目的は、常に避難意識を高めることだ。
5人1組のグループで、1人が視覚・聴覚障害をシミュレートするためサングラスと耳栓を着用。事前に置かれた屋根瓦や木の障害物を除去しながら、街灯のない急な坂を登った。懐中電灯を照らし、「ここに隙間がある、気をつけて」「この道は避難に適さない」と声を掛け合った。
目標の避難地に到着後、参加者は「日常的に助け合いを増やしたい」「街灯を増設すべき」とフィードバックを共有した。海南高校の17歳の生徒は「手袋がなく障害物の除去に苦労した。避難に必要なものを学べて良かった」と語った。
神戸市東灘区出身の津寄さんは、1995年の阪神・淡路大震災(死者6434人を含む)の教訓を生かした神戸の防災教育で育った。建築・都市計画を専攻し、6月から空き家が多い清水で現地調査を開始。住民の夜間訓練要望からこのゲームを思いついた。
津寄さんは「住民同士の助け合いが印象的だった。得た知見を防災マニュアルの改訂に活かしたい」と述べた。この試行は、夜間の避難課題を浮き彫りにし、地域の防災意識向上に寄与するものとなった。