エディス・コーワン大学の研究チームは、ポジティブな旅行体験が老化の兆候を遅らせる可能性があると提唱した。観光にエントロピー理論を適用することで、旅行が身体のバランスと回復力を支えると主張している。この研究結果は『Journal of Travel Research』の2024年版に掲載された。
エディス・コーワン大学(ECU)の科学者たちは、宇宙が乱雑な状態へ向かうという「エントロピー」の観点から観光を分析した。彼らは、ポジティブな旅行体験が身体におけるエントロピーを抑制し、心身の健康を促進する可能性があると示唆している。2024年に発表されたこの学際的な研究では、旅行を単なるレジャー以上のものと位置づけており、それが回復力や自己修復メカニズムに寄与する可能性があるとしている。ECUの博士候補生であるファンリー・フー氏は、「老化は不可逆的なプロセスであり、止めることはできないが、遅らせることは可能だ」と述べ、さらに「観光は単なるレジャーや娯楽ではない。人々の心身の健康にも寄与し得るものだ」と付け加えた。研究者らによると、旅行は新しい環境をもたらすことで代謝を刺激し、免疫力を高め、自己防衛システムを強化するという。旅行中のウォーキング、ハイキング、サイクリングといった活動は身体活動量を増やし、血行を改善し、組織の修復を助ける。フー氏は、「こうした活動に参加することで、身体の免疫機能や自己防衛能力が高まり、外部リスクに対する強靭さが補強される可能性がある」と説明する。また、リラックスできる要素は慢性的なストレスや過剰な免疫反応を軽減する効果もある。一方で研究では、すべての旅行が健康に良いわけではないとも警告している。病気への曝露や事故を伴うような、ストレスフルで危険な旅行はエントロピーを増大させ、健康を損なう可能性がある。フー氏は、「逆に、観光にはネガティブな経験が伴うこともあり、それがエントロピーの増大を促進し、健康上の問題を引き起こす可能性がある。顕著な例がCOVID-19による公衆衛生上の危機だ」と指摘した。2025年にフー氏らによって発表された追跡調査では、旅行療法は新たな分野として浮上しているものの、利益とリスクのバランスを取ることの重要性が強調されている。また、システマティック・レビューでは、観光と健康的な老化の関連性はまだ研究が十分ではなく、より強固な手法を用いたさらなる探究が必要であると指摘された。