日本の研究チームは、CRISPR/Cas9を用いて赤リーフレタスの主要なアントシアニン合成経路遺伝子を無効化することで、赤色を消失させ、一部のフラボノイド含有量を増加させることに成功した。制御された屋内環境下において、成長への目立った悪影響は確認されていない。
筑波大学の研究チームは、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて、赤リーフレタス(Lactuca sativa L. cv. “Red Fire”)におけるDFR(ジヒドロフラボノール4-還元酵素)遺伝子をノックアウトした。DFRは、赤レタスの色を決定付ける色素であるアントシアニンの生合成経路に関与する遺伝子である。
編集後の系統では、赤色色素が完全に消失し、見た目にも明らかな緑色の表現型が現れたほか、アントシアニンレベルの低下が確認された。代謝物プロファイリングの結果、この改変はフラボノイド組成の変化と関連しており、クェルセチンなどのフラボノイドの蓄積増加や、一部の編集系統における総フラボノイド量の増加が見られた。
また、植物工場形式の環境下で測定した成長特性(地上部の乾物重量や葉数などの指標)において、有意な悪影響は報告されなかった。これは、検証された制御環境下において、色素の変化が成長に対する目立った負荷をもたらさなかったことを示唆している。
本研究成果は『Frontiers in Genome Editing』誌に「CRISPR/Cas9-mediated knockout of DFR alters pigmentation and shifts flavonoid accumulation in red leaf lettuce without detectable growth penalties.」として掲載された。筑波大学によると、江面浩教授の研究グループによる本研究は、科学技術振興機構(JST)の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)(JSTOPERA、JPMJOP1851)の支援を受けて実施された。