健康・労働福祉省の専門家パネルは、2つのiPS細胞由来の再生医療製品に条件付きで製造・販売を承認した。これらはパーキンソン病と重症心疾患の治療に用いられるもので、世界初の商業化となる可能性がある。承認は小規模臨床試験に基づくもので、効能のさらなる検証が必要だ。
2026年2月20日、健康・労働福祉省の医薬品医療機器総合機構の専門家パネルは、iPS細胞由来の2つの製品に条件付きで製造・販売を承認した。これらは住友ファーマが開発したパーキンソン病治療用の神経細胞製品「アムチェプリ」と、心筋梗塞後の重症心不全治療用の心筋細胞パッチで、クオリプス社が大阪大学と共同で開発したものである。
パーキンソン病はドーパミンを産生する脳神経の減少が原因で、日本に約25万人の患者がいると推定される。京都大学の臨床試験では、6人の患者にiPS細胞由来の神経細胞を移植し、全員でドーパミンの産生が確認され、4人で症状の改善が見られた。従来の方法では達成できなかった歩行能力の回復例も報告されている。
一方、心疾患治療のパッチは虚血性心筋症の患者向けで、日本国内で約3,000人が対象となる可能性がある。大阪大学の試験では、8人の参加者のうち4人で運動機能の指標が改善した。
京都大学名誉教授の山中伸弥氏は声明で、「iPS細胞誕生から20年という節目に大きな一歩を踏み出せたことを大変うれしく思う。ただし、安全性と有効性をより多くの症例で確認するプロセスが不可欠だ」と述べた。京都大学の髙橋敦史教授は、「審議の結果は大きな前進であり、これらの治療法が信頼される一般的な選択肢となるよう全力を尽くす」と語った。
この承認は条件付きで、企業は市場投入後に安全性和効能のデータを収集し、7年以内に正式承認を申請する必要がある。失敗すれば製造・販売が停止される。過去の例として、2015年に条件付き承認された心疾患治療製品は、症例数の不足で2024年に承認が停止された。
再生医療製品のコストは高額で、類似製品で1,476万円かかる例がある。藤田保健衛生大学の矢代良美教授は、「iPS細胞が20年で商業化されたのは急速な発展だ。以降、企業参入と投資がしやすくなるだろう」と指摘した。一方、コンサルタントの花村亮氏は、「価格がビジネスの観点で低すぎれば、後続企業が入りにくくなる」と懸念を示した。
政府は2013年度から10年間で1,100億円を再生医療研究に投資した。2014年の眼疾患に対する世界初のiPS移植では、10年後になっても癌化が確認されなかった。