パナマで、鮮やかなピンク色から緑色へと11日間で体色を変化させる希少な熱帯性キリギリスが科学者らによって観察された。この変色は、成長とともにピンク色から緑色へと変化する熱帯雨林の若葉に擬態するためのものとみられる。研究者はこれを突然変異ではなく生存戦略であると説明している。
研究者らは、パナマのバロ・コロラド島にあるスミソニアン熱帯研究所のフィールドステーションにおいて、木の葉に擬態するキリギリスの一種、Arota festaeの成虫のメスが鮮やかなピンク色をしているのを発見した。自然条件下で11日間のうちに、この個体は完全に緑色へと変化し、一般的な成虫の姿となった。この種はパナマ、コロンビア、スリナムを含む中南米の一部に生息している。今回の発見は、今週発行の学術誌「Ecology」(2026年; 107 (3)巻)に掲載された。この体色の変化は、熱帯植物に見られる「遅延緑化」と一致するもので、バロ・コロラド島の植物種の約3分の1が、ピンクや赤色の若葉を出し、後に緑色へと変化する。セント・アンドリュース大学の筆頭著者ベニート・ウェインライト博士は、「この個体を見つけたのは純粋な驚きでした。非常に希少なため自然条件下で観察を続けたところ、ホットピンクから緑色へ変化していく様子を確認できました」と語った。同博士は、これが「この昆虫が擬態しようとしている熱帯雨林の葉のライフサイクルに適応した、極めて精巧な生存戦略」である可能性があると付け加えた。セント・アンドリュース大学、レディング大学、スミソニアン熱帯研究所、アムステルダム大学のチームは、この昆虫を30日間監視し、毎日写真を撮影した。ピンク色は4日後にはパステルカラーへと薄れ、11日目には変色が完了した。このキリギリスはその後交尾し、翌月に自然死した。ピンク色の個体は1878年から確認されていたものの、希少な突然変異とみなされてきた。レディング大学のマット・グリーンウェル博士は、「熱帯雨林は極めて複雑な環境であり、今回の発見は一部の動物がその環境を最大限に利用するためにいかに精密な進化を遂げてきたかを示唆している」と指摘した。これは、こうしたキリギリスの成長過程における完全な体色変化が記録された初めての例となる。